8 一之瀬村

ついに俺達は因縁の場所、一之瀬村に辿り着いた。
宮元が興味を引かれて、一人この村に踏み込んで、そして死んだ。古い地図にか存在しない曰くつきの場所。俺達がここを訪れたからといって何か解決できるとは、このメンバーの中で誰一人として思ってはいないだろう。ただ、何かの手がかりを得れればいいと思うだけだ。
さっきまで山道を歩いてきた為か、今が秋であっても身体中にしっとりと汗を掻いた。それを河の水の流れと一緒にやってくる冷たい風が撫でて冷ましてくる。その風を追うように俺達は河沿いに進むと、少し大きな建物が見えてきた。何の建物なのかはわからない。ただ、俺達がイメージしていた廃村とは少し違う事は明らかになった。こういう村というのは民家やそれを囲むように畑・田んぼが並んでいるのを想像していたからだ。
今歩いている河は村の向かい側にあって橋が無ければ向こうには渡れない。どこかにそれらしきものが無いかと河を見つめている。わりと幅のある河だったが深さはそれほどあるわけでもない。もし橋が無ければ、その場合は仕方ないがその浅い河を歩いて渡る事になるだろう。
「ねぇ、アレ、橋じゃない?」
春日が指し示した方向には草むらが広がっているだけだ。周囲に誰も住んでいないものだから、荒れ放題の河は雑草が背の高さを競い合うように伸びていて、河に水が流れている事すら信じれなくなるほどだった。だがその草むらの中にコンクリートで作られた橋らしきものがあるのを俺は見つけた。沈み橋という奴か。ちなみに沈み橋というのは大雨などで水嵩が増えてくると河の中に沈んでしまうという、非常に背の低い橋だ。ただ、安価で作れる橋という事で、県内では岩国などで見つけることが出来る。
「ここに住んでた人は大雨になると村から出る事が出来なくなるんだな」
陸の孤島って奴ね」
秋とは言っても冬眠しようと場所を探してる蛇などに出くわすかもしれない。俺達は慎重に慎重を重ねて高い雑草を掻き分けながら橋に近付いていった。さっきの山道とは違って、ここは人が通っていた形跡がない。雑草の生命力、特にこういう水の多い場所での奴等の生命力は長年踏み固めてきた地面であっても、自分達の場所としてしまうのだろう。ようやくコンクリートの地面が見え始めた。そこが沈み橋だった。それでも周囲の雑草が橋を覆い隠す勢いで生えている。掻き分けながら進んで、俺達はようやく対岸へと渡った。
他のメンバーが村を見てどう思ったかは解らないが、少なくとも俺は自分の甘さを悟った。
以前宮元も話していたが、廃墟を探索する上で気をつけなければならないのは幽霊云々などに出会う事よりも雑草やら崩れかけそうな建物によって怪我をしてしまう事なのだ。建物は辛うじて残ってはいるが、どれも背の高い雑草に覆われて、適当なもの一つに入るにしてもその雑草を掻き分けるだけの労力が必要だった。
「芝刈り機でも持ってこればよかったかもな」
なんて台詞を吐いて場を和ませようとも思ったが、誰も笑わなかった。
「そんで、警察はここに一度来たんだろ?やっぱ雑草を掻き分けて進んだのか?」
「ああ、芝刈り機を持ってきて道を作っていったよ。宮元の死体が見つかったのは、さっき河から見えてたあの建物だ。ちょっと時間は経ってるが、まだ歩けるかもしれない」
俺達は雑草に覆い尽くされそうになっているアスファルトを足が草に当たらないように中央部分を注意深く歩いて進んだ。先の方には河の反対側から見えていた村で一番大きな建物がある。
ふと、何かしらの違和感を覚えた。
今までこの村には人が住んでいたという前提を頭の中に置けば、この草木に覆われた家屋の中には幽霊と呼ばれるものも居て、それが俺達を見ているだろうという恐怖、いわゆる視線を感じるという奴を体験する事になるのだろうと思っていたのだが、それとはちょっと違う。
俺の家の近所に、仕事柄日中は家に誰も居ないという家がある。都会では珍しい事はないろうが、田舎では必ず家には誰か居て、だから鍵をかけることもしないのだ。子供の頃は家の周りで遊ぶのだが近所の家でどこか面白いところはないものかと、小さな路地やら田んぼのあぜ道、裏道、時として他人の家の庭まで入り込む事もある。今考えれば不法侵入と取られてもしょうがないのだが、その日中、誰もいない家の庭に入った時、「ここで一体何をしてんだ?」と誰かから怒られそうになる手前のような感覚を感じだ。別に誰かが本当に怒っているわけじゃない(ただ、怒られた事はあるが)これは怒られるであろうという感覚を勝手に俺が持っているのだろうか。
俺達はただ、廃村という事を除けばそこは只の村であり、そしてその村の中のアスファルトの道路を歩いているだけなのにも係わらず、俺の心の奥深くには、あの子供の頃に感じた、他人の家の庭の中を歩いた時の罪悪感というか、緊張感というか、誰かに怒られるのではないかというあの感覚が、俺の許可する事無く勝手に湧き上がってきているのだ。
俺はその事をメンバーに言う事も無かったのだが、他の奴等も何かしらの違和感を感じていたのかも知れない。それか、それは単なる俺の思い過ごしで、誰もが俺の子供時代の様にヤンチャに他人の家の庭に足を踏み入れたような経験など無いのかも知れない。ただ、他のメンバーは普段街を歩くときのスピードとは明らかに違っていた。一歩進む度に周囲を確認して、まるで、そう、子供の頃の俺のように、入ってはいけない庭に解っていながらも入っている、まさにそれだった。
一瞬、俺はこの村にも人が今も居るのかと疑ってしまった。
目の前に例の建物が現れたときに、雑草が刈り取られているのを見たのだ。だがそれは警察が操作の為に刈り取ったのであった。刈り取られている部分とそうではない部分がある。比較すると刈り取られていない部分は人の背丈ほどの雑草だ、これがついこの間まで雄々しく生え散らかしていたのだと考えると、いかにこの建物が不気味に見えていたか想像に難くない。日の光は遮られて暗い建物の中には何が潜んでいるか解らない。解らないから余計に怖くなる。まさにそのような情景だ。今は草木がある程度は刈り取られているから中まで日の光が入っている。まぁ、その少し奥は真っ暗だったが。
「この建物は何なんだろうな?」
その台詞を吐いたのが小林だ。小林は警察としてここに踏み入って、そして宮元の死体を回収しているのだ。その小林ならこの建物が何かは知っていると思っていたから、この台詞が余計に俺を怖がらせた。地図に存在しない村にある、どんな用途かわからない建物。もしかして旧日本軍の施設だとか、それもありうる。
「もう40年ぐらい前にでも来てればなんの建物かぐらいは解っただろうにな」
と俺は言った。コンクリートの壁は風化し時折崩れて中の鉄骨が見えている。その鉄骨も茶色に変色していて、そこから酸化などをしながら脆くなって俺達が足を踏み入れた衝撃で漫画みたいに崩壊するんじゃないかとすら思えてしまう。ここへ入るのか。
「ねぇ、警察が来た時、ここの建物の入り口まで雑草で覆われていたんでしょ?」
と春日が言う。そして小林が、「ああ」と答える。
「それじゃあ、宮元君はどうやってここに入ったのかな?」
確かにそれは最初に思ったが、俺はその回答として
「そりゃ、草木を掻き分けて入ったんじゃないか?」
と答えた。
「ちょっとまってよ、宮元君がここに来たのは夏でしょ。廃墟巡りが好きで、しかもその専門家の宮元君が、夜中に草を掻き分けてこの建物に入っていったの?信じられる?」
「確かにそりゃそうだけど、実際にこの建物から見つかったんだからそうとしか」
「誰かに殺されてここに運ばれてきたとかは?」
春日がそのような事を言うものだから、俺達は一瞬固まった。確かにそれは考えられる。元々不信な点が多すぎる死だからな。でも今から建物に入ろうって時に嫌な話をするもんだ。小林がそれをフォローする。
「そりゃ、言ってる事は一理あるけど、殺されたとして運び込まれる時にもこの草を除けずに入るってのが難しいんじゃないかと思えるな。あと、そこまでして中に運び込むのは何か意味があるのかとか。自殺の線でまとめようとしてる警察上層の考えもわからない事もないよ。理由がつかないから自殺にしようとしてる」
俺達はそう話しながら、ゆっくりと建物の中へと入っていった。
とその時だ。
「あれ?」
さっきまでカメラを回していたみのりが突然立ち止まって、何かを確認している。
「どした?」
「なんか、突然映らなくなった」
春日もこちらに来て、カメラを確認する。
「ちょっと冗談は止めてよ」
と最初は笑顔だったが、電源を入れても反応なしのカメラを見て焦る彼女。俺はまさにお決まりのシチュエーションにゾッとしながらも、春日のアイデアでとりあえずこの建物から離れた場所で電源を入れてみようとしたのだ。これをアイデアというのなら建物の中で録画が出来るようになるという結果には導かれないアイデアだろうが、この電源異常の現象の原因がこの建物にあるのかどうかが解るアイデアではある。
建物から10メートルぐらい離れた場所で電源を入れてみる。
「あ、電源入った」
「じゃあ、そのまま建物に近付いてみて」
「うん」
カメラの映像を見ながら建物に近付く。俺もその横で同じ様に映像を確認していた。
実際の見た目よりも暗く写る建物(これはデジカメなので仕方ない)それが段々大きくなるのだが、建物まで後3歩ぐらいの場所で突然電源が切れた。
「やっぱり、変だよ」
「マジかよ」
それから3回ぐらい同じ事を繰り返したが現象は同じだ。
「ちょっと洒落になってないわよ」
春日も言う。
「磁場の関係か?まぁカメラなしでやるしかないか」と小林。
「そういや、警察は現場検証でカメラを持って入ったんだよな?電源は入ったのか?」
「そりゃ入ったさ。まぁ、写真を撮るデジカメだけど」
写真は良くて映像がダメな磁場ってなんだ?そもそも磁場で電源が入らない事とかあるのか?
疑問は残るが俺達はここまで来て、カメラに電源が入らないから撤退するというほど軟い根性じゃない。渋々、カメラなしで建物の奥へと進む事にした。
だが入ってから5メートルほど進んだところでチカチカとカメラのバッテリーライトが点滅しているのを俺は発見したのだ。
「みのり、カメラの電源入ってるみたいだぞ」
「あ、ほんとだ」
だがバッテリーライトは点滅の状態だった。このカメラは電源が入っている間は点滅ではなく点灯なのだ。だからこれはバッテリーの異常があると考えてもいい。
「とりあえず、撮れるだけは撮っておこうか」
「うん」
乾燥した風が建物の間をすり抜けていく。太陽の光が当たって輝いているコンクリートの部分がこれほど安心する事は今まで無かった。日が当たるところと影の部分とで温度差が激しいのだ。奥へ進むほどひんやりとしてくる。そして、温度だけでは説明がつかない独特の寒さのようなものを感じる。風邪で熱が高くなる手前のあの背筋から冷えてくる寒さだ。
「宮元君の遺体が見つかったところはどこ?」
俺達がゆっくりと廊下を進んでいる時にそれをせかすように春日が言う。一之瀬村に来る事は反対しなかった彼女だが、いざこの建物に入ると早く終わらせて外に出たいという気持ちでいっぱいの様だった。
「こっちだよ」
小林を先頭に廊下をどんどん進んでいく。部屋はいくつかあったがそれらを一つ一つ見て周る事は誰もしたがらなかった。俺達は学生時代のように肝試しを楽しむためにここへ来たんじゃないからだ。急ぎ足で廊下を進む中でも俺はそれらの部屋を横目で見ていた。こういう廃墟というのは学生が遊び半分で訪れて散々壊したり落書きをしたりゴミを捨てていったりするものだが、この廃墟はまったく違う。誰も入った形跡が無いほどだ。ただ自然による崩壊だけが崩れたコンクリートや剥がれているタイルから想像できる。確かに登山客が道を迷って訪れるぐらいしかここに来る機会などない。
そしてようやく俺達は宮元の死体が見つかったフロアへと出た。
そこは2階へと続く大きな階段があるフロアで、階段だけじゃなく、椅子はテーブルなどもあるから団欒を楽しむ場所だったのかもしれない。これが建物を入ってすぐの場所にあったとしたら、多分、映画に出てくるような洋館と思われるかも知れない。
幅は2〜3メートルぐらいある階段が2階まで続いている。所々は風化しているのか角が削れている。
「ここで宮元君が亡くなったのね」
「この階段の上で死体が見つかった。階段の所々に傷があるけど、これがどうも鉈か斧で最近作られた傷みたいなんだ。宮元が振り回してつけた傷だと考えられる」
小林が指差す先には、さきほど俺が風化して出来たかと思ってた所々崩れた階段がある。ほんとうだ、よく見たら周囲のコンクリートと色が異なる。
俺の脳裏には宮元が暗闇で何かに足首を掴まれてそれを振りほどこうとして鉈を振り回しているイメージが浮かび上がっている。その何かは宮元の足首から離れようとせず、何を血迷ったのか宮元は自らの足を鉈で切断した。いや、足を失ってでもその何かから逃げなければならないという状況…。どういう状況なのか俺には理解できない。ただ、俺達は無意識にも、その鉈か斧で作られたと思われる階段の傷を一つ一つ注意深く避けながら、2階のフロアへと上がっていった。
「ちょっと…何これ」
春日が悲鳴にも似た声を上げた。
俺達の目の前には黒い滲みが広がっている。小林はここで宮元が死んだとは一言も言っていないが、俺達はそこに宮元の死体があった事が頭の中でイメージされたんだ。
「ここに…宮元の死体があったのか?」
と俺は恐る恐る聞いた。
「ああ。そうだ…。最初死体が発見された時に、この滲みがここにあったからてっきり大量の血液がコンクリートにしみこんだものだと勘違いしそうになった。成分分析でこの滲みは宮元の血液じゃない事は解ってる」
「じゃあ、これなんなの?」
「ん〜…結局誰の血なのかはわからなかった」
「え?血なの?!」
「血っていう事だけは解ったんだけど、誰の血なのか…というよりも、人間の血かどうかも解らなかったんだ」
これだけの大量の滲みを残すなんて、人間がこの血を残すのも、仮に動物がここで何者かに殺されたとしても、そのどちらでもどうかしてる。
俺と小林がその滲みを見つめていると、春日とみのりの二人は突然、周囲を見渡し始めた。2階から見える外の景色や(丁度隣に河が流れている)先程上ってきた階段のほうや2階の廊下の辺りを、とにかく、何かを見ようとしているというよりも、ただ周囲を見渡すのだ。それが二人して同じ様な事をしているのだから奇妙だ。
「どした?」
俺はみのりに聞いてみる。
「え?」
みのりははっとして俺の顔を見る。それから春日もみのりや俺の顔を見て、
「今何か聞こえた?」
と聞くのだ。
「何か?別に何も。小林、何か聞こえたか?」
「ん?いや、何も」
「みのり、何か聞こえたのか?」
「聞こえたような…」
「聞こえたでしょ?」と春日が目を輝かせてみのりに言うのだ。
「何の音?」
「え、いや…なんだろ、唸り声?」
あまりに春日が喜んでいるので俺は一瞬、春日とみのりが二人で裏で帳尻を合わせて驚かそうと計画しているのかと思ったほどだ。だがみのりは冗談があまり好きではないし(特にそういう驚かす系統の冗談は)これはやはり春日とみのりが共通に音を聞いている事に喜んでいるだけなのかもしれない。だが、唸り声と聞いて背筋に寒気が襲ったのは言うまでもない。
「どっちから聞こえるんだ?」
「どっちって言われても…」
普通、音が聞こえる方角ぐらいはわかるだろう。春日は冗談でやっているのかと思われるほどにオーバーアクションで手を耳に当てて周囲の音を拾おうとしている。本気でどっちから聞こえてきてるのかを知ろうとしているように見える。
「ん〜…全方向」
「ぜ、全方向?」
「近付いてきてる!」
俺は小林のほうを見てみたが、肩をすくめて「何を言っているのやら」というジェスチャーをしてる。俺と小林にはまったく何も聞こえない。聞こえるのは虫の声と河が流れる音だけだ。
「ねぇ、もう出ようよ。他に何を探すの?」
引きつった表情でみのりが言う。
「何って、この建物の中を一通りはくまなく見て周ったほうがいいんじゃないか」
「え?本気で言ってるの?」
いつのまにか、みのりは俺の服の袖を掴んでいた。一方で春日は相変わらず両手を耳の後に構えて音がする方向を検索しているようだ。ぐるぐると回っているようだから結局はどっちから聞こえているのかは解らないと思われる。
「出ようよ、何かヤバイって」
みのりが袖を引っ張る。
「わかった、わかったって!出ようか。なんかよく解らんがヤバいらしい」
俺は相変わらずくるくるとその場を回って音の位置を探そうとしてる春日に「おい、行くぞ」と一声掛けて手を引っ張り建物を連れて出た。それから小林を先頭にして、みのり、俺、春日の順に互いが手を引っ張られるという構成で建物の外へと出た。
「で?声はどうなった?」
「なんか、近付いてくる」
「マジか」
みのりが先頭になって俺の袖を引っ張って歩く。もうその方向は俺達が来た山のほうだ。帰ろうっていうのか。ワケがわからず俺も春日、小林もそれに仕方なくついていく。
「来た!来た!来た!何か来た!」
さっきまで音の発信源を探そうとしていた春日が突然叫ぶ。
俺の隣を何かすごい冷たい風の塊が通り過ぎていくのが解った。見た目にはただ谷間から吹いてくる風だったのだが、通り過ぎた部分、つまり俺の身体半分の部分は鳥肌が立っていた。身体半分だけ鳥肌が立つという現象は今まで体験した事がない。
みのりはさっきからビデオカメラを持っては撮影をちょこちょこやっていたのだが、今の風が通り着ぎた瞬間、持っていたハンディタイプのビデオカメラがカチャカチャ震わせていた。どう考えても様子がおかしい。
「何かビデオに写っていたのか?」
みのりに近付き、彼女が持っているビデオカメラの録画映像を見てみるのだが、特に何か変というわけでもない。俺達が風が通り過ぎた時に(寒いのか無意識に)身体をかがめている様子が映されているだけだった。
「よくわかんない、今、一瞬、凄い寒かった気がする」
「ああ、俺も半分だけ鳥肌が立ったよ」
「私は両手がそうなった」
みのりは袖から手を出すと、両腕は鳥肌に覆われていた。
「帰ろう」
俺達はどこにそんな体力が残っていたのかと言うほどに、ここに来るまでに見られなかったすばやい動きで村を後にした。俺達が歩いた後は雑草に冷たい風がザアザアと、まるで俺達を追い回すように吹いていた。