2 お金を稼ぐという事 2
まるで気力だけで身体を動かしているみたいだった。
かたつむりの会で化粧の仕方を習ったけども、それを使う機会は無かった。何故なら俺が昼から行く職場は化粧禁止。食品を扱っていて、化粧をしていると食品に付着する恐れがあるから。だから、身体を防菌服?のようなもので包んで、手にはビニールの手袋をはめてマスクをつける。
俺が家を出て向かった先には食品加工工場があった。
ここでは色々作ってるけども、俺が担当しているところは和菓子を箱詰めする工程だ。
さくら餅を手でプラスチックのケースに4つ収めて、最後にプラスチックの偽物の葉っぱを入れて完成だ。2時間1セットで途中に10分の休憩を挟んで2セットやる。
お風呂屋の掃除バイトと比べると、マスクで顔が見えないし、人数もそれなりに多く、人の入れ替わりも激しいので知り合いが増える事は無いみたいだ。休憩の時には小さなタバコ部屋に何人も集まって僅かな休憩時間(10分休憩のはずだけど、服を着替えなおしたりするので実質5分ぐらいしかない)を利用してタバコを普通よりも早く吸っている。会話も無いみたいだ。
俺はそこには近付かなかった。タバコの匂いが服に移るのも嫌なので。
その食品加工工場の仕事が終わってからいったん家に帰って遅い昼食をとる。ここで食事をしないと夜にはもう食べ物を作る気力すら残っていない。
前はちゃんと夜ご飯も食べていたのだけれど、疲れ果てて家に帰ってからすぐに寝たとき、そのまま翌朝、食事する時間もなくて仕事に出掛けて、出先で倒れそうになった事があった。
そもそも過労だからとかいうのも理由だけれど、1食抜いてエネルギーになるものが身体に入っていなくても同じ様に倒れそうになってしまう事を始めてしった。
でも、もし倒れてしまったら…どうなるんだろう。
肉体的には倒れても起き上がれるけど、どうなんだろう。
精神的にはもう2度と起き上がれないかもしれない。