5 外食に行きましょう 1

家に帰ると親父も新お袋もせかせかと外向きのお洋服に着替えて何か出かける準備みたいなのをしてる。つまり、このシチュエーチョンは今からお出掛けをするという事だ。この時間なら、二人で居酒屋にでも行くのかもしれない。
子供を置いて…。
「七海、日和君、今帰ってきたのか。支度しなさい。出掛けるよ」
え?俺達も?
「出掛けるって、どこいくの?」
「メシ食いに行くに決まってるだろ」
決まってんのかよ。
まぁいいか。俺も日和もしぶしぶと2階に上がって支度をした。
余所行きの服ってのはあまり高校生っぽいのは持ってない。水商売関係の女性が着てるようなちょっと派手はものなら持ってる。
子供っぽいのは、それはそれで自分には似合うんだろうけど、男からみて女性に着せたい服を選んでしまうので、結果的にセクシー路線へと偏ってしまったのだ。
支度が終わって玄関に向かったら親父しかいない。お二人はどこへ?
「七海、日和君を呼んできてくれ」
「え〜…」
しぶしぶ2階へ再び上がる。
日和の部屋のドアを開ける。
コイツは部屋の扉を開けるたびにオナニーしてるのだが、気のせいだろうか。
「おおおおおお!」
「何やってんだよ、ったく」
「お、お前こそ何やってんだ!ノックぐらいしろよ!」
俺はコンコンとドアを叩きながら「急いで」と言った。
日和はトランクスを履きながら、
「お袋が化粧すんの時間が掛かるから急いだって意味ねーよ!」
「そんなの知らないよ。呼んできてって言われただけなんだからさ」
「くっそー!後少しでイキそうだったのによ」
「そういうこと、妹の前で言うか普通」
日和は俺のほうをジーッと見て、
「お前、結構いい感じの服着てるな」
とか言いながらトランクスの上からチンコを掴んでる。この体勢は…
「おいおい、君、妹をオカズにしようとしてないか?してるだろ、絶対に」
「いや、そういうつもりはないんだけど…いや、まて。お前、俺のオナニーを邪魔しておきながらその言い草はなんだ?あと少しでイキそうだったんだから、お前責任持って最後までイカせてくれよ!」
「なんだよ、その腐った思考回路は!見られるのが嫌なら鍵でもかけとけよ」
「俺の部屋にはついてねーんだよ!鍵が!」
振り向いてドアノブを見てみると、あら、ついてない。鍵ついてない。
「それはこの家を建てる時に、俺が不良になって部屋に引き篭もったりしないように鍵をつけなかったんだと。ちなみにお前の部屋にもついてないぜ」
「え…マジで?」
「おおマジ」
とか言いながら、日和はまだ勃起が収まりきってないイチモツを無理やりジーパンに収めながら、適当な服を着てる。
日和は立ち上がったらかるく180ぐらいの身長はある。俺は背伸びをしたとしてもあいつの喉にも頭が届くかわからない。しかも女の身体だ。あいつが本気を出したら俺なんて赤子の手をひねるのよりもちょっと力をだせばねじ伏せる事が出来るだろう。という事をあらためて考えてみると、ちょっと怖くなったのだ。
だから、とりあえず何か大変な事が起きる前に一言言っておこうと思った。
「あのさ、日和」
「ん?」
「無理やりとかは嫌だからね」
「へ?」
「いやだから…いくら部屋の鍵が無いからって、夜中に忍び込んでレイプとか」
「お、おいおいおい!俺をどんな目で見てるんだよ!」
「しない?」
「するかよ!そんなのしたらお前の親父さんに殺されるだろ」
「まぁ、確かに」