20 ゾロ目の宿命を背負う男 5

清風モールにバスは到着。
地下(最下層)は電車、2階はバス、3階はヘリポートとしての交通手段がある。そう、滅茶苦茶大きいのだ。
2階に降りたつもりでも2階とは思えない感じに作られていて、街並みはちょっとアンティークなヨーロッパ的な感じ。3階があるので天井が見えるはずなのだけど、このモールでは特殊な技術で天井が見えなくなっている。1階は下町っぽい作りなんだけど、そこも同様。空はいつも青いのだ。あ、雨が降ってても青いんだけどね。
クリさんが言う。
「最初にどこにいくのだ?」
「えっと、朝食はもう済ませられたのですか?」
おお、もしかして奢ってくれるのかな?ラッキーだ!超ラッキーだ!最近は芋ばっかり調理して食べてるから!
「あ、まだ」と僕が言いかけたら、クリさんが、
「さきほど済ませた」
…。おーい…。
「あたしはまだ済ませてません!」
「さっきBLTサンドを食べていたじゃないか」
「朝飯前の朝飯です」
「相撲取りか」
どうやら本当に奢ってもらえるみたいだ。佐藤さんは財布の中身を確認し始めた。お金を持ってそうな人が財布の中身を確認するということは僕やクリさんが余程の高級な朝食を食べるという事を想定しているのかな!そう!そうだよ!高級なものがたべたーい!
「何でも注文していいのかな?」
「ん〜。何でもって言うわけでは…あまり高くないものなら」
「大丈夫ですよ、ここって高級店とかないし!」
というわけで僕たちは最初に牛丼店に入ったんだ。ここはメガ盛り牛丼があるからね。普通の定食の値段でお腹一杯どころか二杯、三杯はいけるんだから。って…なんだかこんな時に背中がムズムズするぞ…。
「どうした?」とクリさん。
「いやね、背中がムズムズ…あっ!」
な、なんだぁ…?やばい。背中がムズムズすると思ったらブラのホックが外れ掛かってるじゃないか!なんでこんな時に、これから牛丼を食べようって大事な時に…。くっそーっ。
「ん?」
「(なんか背中のホックが外れ掛かってる…)」
小声で囁くように言う。
「ふむ…」
「(ふむ、じゃないよーっ。僕はちょっとホック止めなおしに行かなきゃ)」
「ホックが外れるというのは普段からそうなのか?」
「(…ちょっ、声が大きいよ。普段からなわけないじゃん)」
「(ふむ…興味深いな)」
何か関心してるクリさんを他所に僕はさっさとトイレに行った。