12 キャスト・アウェイ 3

男だろうと女だろうと、エッチな事をする時には真面目に考える事があるのだ。雰囲気に流されないで考えてしまうひとつの事…。そう、俺、あそこを綺麗に洗ってたわけじゃないし…。というところに日和が顔を突っ込んでくるもんだから俺はこいつの頭を抑えこんで、
「やめろって!」
と言った。
「な、なんでだよ」
「そりゃぁ、その、汚いからだよ」
「いや、汚いのがまたいいんじゃないか」
うわ、変態だ。変態がいる。
日和は俺のビキニの紐に手を掛けて、それを脱がした。糸を引いている。別に汚れているわけでもなかったみたいだ。俺はてっきりビキニに茶色の染みでも付いてるんじゃないかと思ったけど、何度も泳いでたからそういうのはなかった。よかった。
「おぉ…」
「な、なに?」
「毛が生えてない」
「はぁ、そうですよ。そうですよ」
日和はごくりと生唾を飲み込んだあと、俺の股間に顔を埋めてきた。
日和の舌が俺のあそこの中に突っ込んでくるのがわかる。ぞくぞくする。背中側に鳥肌が立つようなぞくぞく感。思わず「ん、ああ!あは!」とか喘ぎ声が漏れてしまった。舌はあそこの穴からクリトリスのほうも舐めまわしている感じがする。いつのまにか俺は座っている体勢に疲れて、そのまま寝転んだ。
「はぁはぁ…」
虚ろな目をしていたと思う。日和は顔を真っ赤にして俺を見つめて、その後、寝転んでいる俺の上に覆いかぶさってきてキスをしてくる。さっきまで一緒に寝てたテント、家族で作ったテントの中に、血のつながりがない兄、日和と一緒に、今は抱き合っている。なんかこのギャップ感っていうのが中身が男である俺にもちょっとだけ性的な刺激になっていた。
「やべ、マジで俺童貞卒業したいんだけど、ダメ?」
「えぇ?!」
俺を抱きしめたまま、日和は俺の顔を見つめてそう言った。顔が目の前にある時に色々と言われるのはセクシーに聞こえるが、まぁそこは落ち着こう。相手は男だし。俺は男なわけだ。
「ダメ?」
「だめだよ…」
「そ、それは妹だからとか…そういう?」
「いや、そうじゃないけど」
「じゃあその…。もしかして初めてだとか?」
日和は聞いたのだろうか。俺は別に自分が処女ってところを意識して欲しいわけじゃないんだけど。別に隠す必要もないし、
「初めてだけど。別にそういうんじゃなくて」
「…俺が初めての相手っていうのが嫌とか…。そうか、お前も初めてセックスする相手はイケメンさんがいいんだよな…。俺みたいなエロゲオタクとセックスなんて嫌なんだよな。くそーっ。そうか、そういう事かよ!」と言いながらも日和は俺のおっぱいに顔を埋めてすりすりしてくる。
「そ、そういうわけじゃないけど…」
「え?マジで?」
「っていうかその…」
俺は単純に、中身が男だから初めての相手が男とか嫌なんだよ。ファーストキスも日和が相手じゃないか。なんだか情けない気分になるんだよな。まぁ、仕方ない事だとは思うけどさ。相手が女で俺が処女で、処女膜を貫通してくれるかって言えば、ふたなりの女じゃなきゃいけないわけだろ。そんなふたなりの女は女なんて認めないし。じゃあバイブで貫通させるのかっていうのもなんだか寂しい。そういう複雑な思いが頭のなかをぐるぐると渦巻いてて、答えがでないままだと日和とエッチするとかありえん。
「わかった…。わかった、悪かったよ」
その複雑な気持ちが俺の顔に出てたのだろうか。日和は無理にでもエッチするという行為は諦めたみたいだ。でも、そのままキスをしてきた。仕方ない、日和も無理に処女を奪おうとしないって解ったから、俺はそれに敬意を示すような意味で日和の唇を、舌を吸った。絡めた。