3 死にそうになる事と死のうかと思う事 2

うつ伏せで、殴られまくって意識が飛びそうになってるボクサーが、カウントダウンをやられてるみたいな状況になった。
10、9、8…。
結局、俺は母親に捨てられてから、こうなる運命なんじゃないかと思えてきた。
今の日本でなんのツテも無しに、ツテっていうのは、学歴だとかそんなもんも含めて、生きていける方法なんて実は無いんじゃないかって。
5、4、3…。
今思えばお袋が出て行ったのも、俺に死んで欲しかったんだと思う。
親父が女作って家を出て行って、親父の残したもの、つまり俺を、なんとか育ててたけど、XX病になって女になった時に、もう、自分の子供じゃないって思ったんだろう。いや、女になる前からそう思ってたはずだ。そして姿形が完全に変わってから踏ん切りがついたんだ。
親父とお袋の唯一の繋がり。最後の繋がり、俺が、目の前から消える事で二人の関係を清算できるんだと思ったんだろう。本当の意味でこの世から消え去れば完全に清算されるだろう。
2、1…。
さっきまで寒気がしてたのに、今は身体が熱い。
身体が熱いって事は、身体の中で病原菌に抵抗する勢力が頑張ってるって事。
俺の身体はまだ死のうとしてない。
笑ってしまうほど馬鹿な奴等だ。司令部である俺はもう白旗振ろうかってのに。
床が冷たくて気持ちいい。
もうこのまま眠ってしまおう。ここで寝てれば死ねる。
0。