5 アスティ 1

ネカフェを出てから裏路地を行ったところにある公園で「アスティ」の連絡先(携帯電話だった)へ電話を掛ける。出てきたのはちょっと大人しそうな声の男だった。
「はい、アスティです」
「あの、ネットの求人募集を見たんですけど」
「あ、はい、ありがとうございます」
「どうすればいいでしょうか?」
「とりあえず、どこかで一度お会いしますか、説明とかありますので」
「はい、お願いします」
「今日でもいいですか?営業時間が11時からなので、それまでに面接終わらせれますかね。それだと今日から出勤できますし」
「えと…今日からですか」
いきなりでビックリした。特に何も準備をしてない。これは企業面接って事になるのか?失敗すると断られるのだろうか。
「今から喫茶店とかで軽く説明できます」
「あ、はい」
「えと、では、米倉公園って知っていますか?その近くに『パッシオ』っていう喫茶店があるんですけど、そこに行けます?」
茶店がどこにあるかはわからないが、米倉公園ってところなら知ってる。ちょっと歩かないと行けないけど街の中心から少し離れた所にある。
もう覚悟は決めよう。
「はい。お願いします」
「自分、赤坂といいます。喫茶店入ったら緑のジャンバーで黒のバッグ持ってるのがいますから、それが俺です」