5 アスティ 2

電話での印象は、大人しめな人。
風俗と言えば経営者はヤクザだと思ってた俺には意外だった。
米倉公園までたどり着いて道路沿いに並んでいる店を見てみる。パッシオ、パッシオ…あった。随分と目立たない小さな喫茶店だった。こういう店で風俗の面性が行われているのか。
中に入ったら店員が一人、客が一人しかいなかったから、その人が赤坂って人だとわかった。言われたとおり、緑のジャンバーで黒のバッグを持ってる。
最初、男はこちらをみたんだけど、すぐに目を逸らした。それから俺が男のテーブルの前にきて、「赤坂さんですか?」と言ったら、「え?」って言われて一瞬焦った。違うのか?
「え?電話の子ですか?えぇ?」
「はい、そうです、けど…」
年齢は意外と若そうに見える。電話の声の印象と同じで、金持ちそうな格好はしてないし、かといってヤクザのようにも見えない。まるでガリ勉の大学生という感じだ。
その赤坂って人が、口をあんぐりと開けてこちらを見てる。足元から頭まで舐めるように見た後、
「いや〜…ビックリしました」
と言った。
「そう、ですか?」
自分は女暦が短いので、何か他の女と違うところがあったのだろうか。それが面接に影響しなければいいのだけれど。
「こんなに可愛い子が来るなんて…いやぁ…本当にびっくりしますよ」
「はぁ…」
そっちのほうなのか。
自分ももし男のままだったら、自分でいうものなんだが、こんな可愛い子がいる風俗店に通ってみたかった。でも、それは俺の経済状況からは有り得ないだろうし、それにこんなに可愛い子がいるようなお店もあるわけもない。やっぱりどこか劣るんだ。