7 初めてのお客さん 1

初出勤の日は結局最後までお客さんからの電話はなし。
次の日、初めてご指名があった。
正直言うと緊張している。
緊張するなというのが無理だろう。
平日の昼間に指名してくるお客というと、どうしても深夜などが仕事で朝帰りする人を想像してしまう。店長曰く、年齢は若そうに聞こえた、らしい。
デリ車でラジオを聴きながら、それも頭になかなか入ってこなくて、そのまま緊張しながら都内のラブホテルの側に降ろしてもらう。こんな昼間でもホテルは開いてるのか。あたりまえか。
フロントに待ち合わせをしているという旨の話をして、お客から連絡のあった部屋番号を言う。フロントに居たのは年齢が20代ぐらいに見える女性だったけども、俺がデリヘル嬢ってのがわかると嫌な顔をしている。っていうか、そんな顔をするな、それがあなたの仕事でしょうと言ってやりたい。
エレベーターに乗っている間も不安で心臓はバクバクと音を立ててた。
ヤクザだったらどうしようかとか、オッサンは嫌だなぁとか。
それから、自分は処女なので『指居れ禁止』という風にはお店のサイトには書いてもらったんだけども、それでも何があるかはわからないものだ。もちろん、本番とかを無理にしてきたらレイプって事で警察に突き出せる、とは言ってたものの、無かった事には出来ない。