8 初エッチ 2

美東の身体を丁寧に拭いてあげて、それからベッドに二人して向かう。
そこからがサービスの本番であった。
だがどうやってするのかはあまりよく解らない。店長は「本番以外のことでお客さんをイカせてあげる」と簡単に言ってくれたんだが、具体的に本番以外の事がなんなのか、よく解っていない。だからこれから何をすればいいのか迷っていた。
ただ、どこかの映画の1シーンにあるように、二人がただベッドに中でチチクリ合うってのをすればいいんじゃないかとまず最初に考えて、俺は美東にベッドに寝そべらせて、その横に裸で抱きついた。軽くキスしたり、美東の手をとって自身のおっぱいにつけてみたりした。
だからひとまず、美東が一番気持ちいいのは何か聞こうと思ったんだ。
「ねぇ、美東くん。好きな事していいよ」
「そ、そう。えっと…何がいいの?本番はダメなんだよね」
そういえば本番はダメだった。
でも正直言うと、このまま処女のまま他の客に万が一本番行為をされてしまったらどうしようと思うところはあったんだ。そして最初の客が、俺のよく知ってる美東だと思ったら、こいつが俺の最初の相手でもいいんじゃないかって思えてしまった。別にこいつの事が好きだからとかいうのはない。他の奴に処女を奪われるよりかはマシだと思ったんだ。
美東も嫌がらないだろう。
だから俺は恐る恐る、言ってみたんだ。
「本番してもいいよ」
「え?」
「その、まだ風俗で働くの初めてだし、処女捨てといたほうがいいかなって思って」
「いいの?俺なんかで…」
なんて言えばいいのだろう。好きだからとか言ったら変に誤解されてしまう。別に好きというわけじゃないのだ。他の奴に奪われるよりまし。それをどいう言ったらいいか迷っていた。考えている事と同じこと、つまり、他の奴に奪われるよりましって言えばいいのだろうか。だが、それも何だか悪い言い方になっている気がした。散々気を使って出た答えが、
「美東くんには色々親切にしてもらったから」
なんだかんだ色々考えて、一番最後に思ったのは、あのクソ寒い日、俺が死の間際まで行きそうになってたときに、美東に親切にしてもらったあの思い出だった。