8 初エッチ 8

約束の時間が終わる10分前ぐらいに俺の携帯が鳴った。
これは終了の時間を教えるために店から電話をしてくる事になってる。
「あ、あのさ」
突然美東が言う。
「ん?」
「お金に困ってるって言ってたじゃんか」
「あ、うん」
「こ、これ、少ないけど貰っといて」
千円札と小銭が少し。本当に少ない。でも俺にはコレぐらいのお金でも生活を支えていくだけの価値はあるものだという事は知ってる。だから素直に感謝してそれを貰った。
「ありがとう」
「次、金貯めてまたくるよ」
「え?いいよ。無理しなくても…ほら、好きなもの買えばいいじゃん。ウォークマンとかコンポとかさ」
「いや、その、生活困ってるんでしょ。俺、その、初めてを奪っちゃったし、その、これでさよならとかダメ過ぎだからさ」
俺は美東が俺の仲での全うな男だというのを知って安心した。仮に俺が美東の立場でも処女奪った女にハイサヨナラなんて出来ない。だが、実際に俺のいた学校の同じ学年に、女を玩具ぐらいにしか思ってない奴がいたのだ。最初はほんの少しでも美東を疑っていた。
「ありがとう…でもほんとに無理しないでね。借金したりとか」
「それはしないよ、大丈夫」
ホテル代は美東が払った。たぶん、コレで本当に彼の財布かすっからかんになったんだろう。
ホテルを出てから美東とお別れした。
「ありがとう、バイバイ」
そう言って俺は手を振った。
美東も同じように手を振った。けども笑顔じゃなくて、どことなく切なそうな顔をしていたのは気のせいだろうか。そういえばまだ膣奥がちょっと痛い。しばらく痛みそうだし、今日はもう帰るかな。
デリ車はしばらくしたら来た。