2 招待状 3

「この桜ヶ丘高校というのはどういうところなのですか?パンフレットを見る限りは普通の進学校みたいなのですが…」
確かにパンフレットに堂々とはXX病対策校である事は記述されていない。これはその高校が完全な秘密主義という理由からだろう。
「つい最近まで男子校だったんですけどね。その高校ではXX病で女性化した男子も受け入れてるんですが、他校と違うのは本当は男性である事を教師にも秘密にしているところですね」
「へぇぇ〜…そうなんですか。学校の中では誰も知らない事になっているんです?」
「そうですね。知っているとすれば教育委員会のほうですね」
「ユウキ、ここ行ってみる?」
「あ、うん…」
ユウキさんはあまりどこへ行きたいとかはないみたいだ。特に興味なさげに僕が手渡したパンフレットを見ている。
「えと、その」
「ん?」
ただ、何か一つだけは聞いておきたい事があるみたいだ。さっきから何かを言おうとはしていたのだが、親が話しているから遠慮していたみたいだ。
「この高校って、ボクと同じの…男性から女性になってしまった人、他にいます?」
「ああ、言うの忘れていました。もう一つの特徴が、この高校はXX病の人がとても多いんですよ。さっきも言いましたけどね、もともと男子校で共学になってからはXX病患者への対策も県内で真っ先に初めてですね、それで沢山の生徒を集めている人気校ですよ。特にXX病の患者さんからは」
「あ、えと、じゃあ。ボク、ここにします」
そう言ってユウキはさっきとは違ってちょっと嬉しそうな表情を見せた。
やっぱり、自分と同じ境遇の人間が沢山居たほうが勇気付けられるというものだ。今まで沢山XX病患者を見てきたが、周囲の誰にも相談できないから僕の事務所を訪れていたんだからね。こうやって同じ悩みを持つ人達の下へあわせる事も、解決の糸口になるんだと僕は信じている。