7 突然ですが雪山に行きます 1

白い雪は人の背の高さまで積もって雪の壁の間を車が進む。一面は白、白、白の白世界。突然ですが今、スキー場に向かう車の中にいます。
スキー場とその傍のホテルへの予約などなど。親父とお袋(新)が既に立てた計画だった。いい歳こいた連中なのにお暑いこって…。
もちろん、最初は俺も大反対だった。
「スキーなんてしたことないし、それに道具だって」
「日和君がスキーできるから教えてもらうんだ」「日和がスキーできるから教えてもらって」と夫婦同時に言う。仲のいいこって。
「道具はスキー場でレンタルできるぞ」「道具はスキー場でレンタルできるわよ」と夫婦同時に言う。仲のいいこって…。
俺と日和はソファーの上にそろって座ってて、親父とお袋(新)はじゅうたんそろって座ってて、ちょっと低い位置から俺達に同意するように勧めている構図だ。同意?いや、強制っぽくなってるけど。
日和も俺に続いて反論する。
「ってか、俺1日以上家を空けれないし」
「なんでなんだ?」「どうしてよ?」わざとハモらせてるんじゃないかっていうぐらい、親父とお袋(新)はそろって言ってる。
とりあえず、俺は日和が1日以上家を空けれない理由を知ってるから、なかなかそれを言わない日和の代わりに言ってあげた。
「出掛けた先じゃオナニーできないからでしょ」
親父もお袋(新)も目を丸くして日和を見る。そして、
「えッ?!」「ちょ、ちょっと!日和、オナニーなんて」
「ち、ちげーよ!」
「じゃあ何だね?」「じゃあ何?」
ネトゲが」
「却下だな」「却下ね」
却下された。
というわけで、俺と日和はスキーに行くことになってしまった。