8 早速ですが遭難しました 3

外の吹雪は止まない。どんどん部屋は寒くなる。それから真っ暗闇にいる恐怖もあって、俺と日和はまるでディズニーのアニメで寒くて震えるキャラのごとくガタガタと床を揺らしながら震えていた。
「くっそさみぃぃ!」
「ううううぅぅ…」
「寝ようと思ってたけど寒くて寝れねぇ」
「この状況で寝れたら死ぬと思うよ」
「あ!」
突然叫ぶ日和。
「何?」
「俺、今すごい名案思い浮かんだかもしれない」
「何?イヤラシイ事だったら却下ね」
「んなわけねーじゃん!ってか、そんな事言うなら名案を教えないぞ」
「教えなかったらいいじゃん」
「ほう。お前、信用してないな、俺を」
「何をいまさら」
「まぁ聞け、びっくりするから」
「なんだよ!」
「お前ケータイ持ってねぇ?」
「え?持ってないよ」
「なんでだよ!」
「名案って、まさか…いや、まさかね。スケベな事ばっかり考えてる日和兄ぃだって、まさかこの状況でケータイで助け呼んだらいいんじゃね?とかいまさら気付くなんて、まさかねぇ〜」
「ちょっと待て。お前、気付いてたのか?なんで教えてくれなかったんだよ」
「二人ともケータイ持ってきてないじゃん」
「俺が持ってないことなんで知ってんの?」
「ゲーム入れる袋に一緒に入れてたじゃん。あんな重いもの持ち歩いてスノボしてなかったからさ」
「ああぁぁぁ!クソ!ってか、なんでお前ケータイ持ってないの?」
「同じ理由だよ。バッグに入れてるから」
「ちょっと待てよ、お前普段から胸のポケットに入れてただろうが!」
「…その胸のポケットに入れてるケータイをガンガン鳴らして『乳首を刺激してやるぅ』とか言ってたの誰?そのバカのせいでバッグに入れるようになったんだけど」
「誰だよそんな破廉恥な事する奴は」
「お前じゃーっ!バカ!」
そう言って俺は日和に飛び掛って首を絞め殺してやろうとしたが、さすがは男、力の差は歴然で赤子の手でもひねるかのように俺の手を突き放して、後はプルプルと震える俺の姿があった。
「まぁ落ち着け、妹よ。今はこんなことで体力を消耗しているわけにはいかないだろう。朝まで温存しなければならないんだぞ。この気温の低さがどんどん二人から体力を奪っていくことに気付くんだ!」
「むぅぅ…」