8 早速ですが遭難しました 4

相変わらず寒い。まだ突然身体が暖かくなって眠くならないだけいいのかもしれない。もしそうなったのなら、身体からの最終勧告という奴だろう。
「七海。名案を思いついたんだが」
「どうせまたイヤラシイ事じゃないの?」
「裸になって抱き合わねぇ?」
「ほんとにイヤラシイ事かよ!」
「違う、マジなんだ」
「マジだろうがそうじゃなかろうがイヤラシイ事に変わりない」
「まず黙って俺の話を聞くんだ」
「なんだよ」
「裸で抱き合っているとお互いの体温で効率的に身体を温める事が出来るぞ。って漫画に書いてあった」
「そりゃストーリーを盛り上げるための演出だよ」
「じゃあ実際には温まらないという事なのか?」
「そりゃ…温まるとは思うけど」
「じゃあやろうぜ」
「待ってよ。よく考えてみなよ。寒いからって理由で男女が裸で抱き合っているのを見たことあるの?」
「今は非常事態なんだからいいんだよ」
「ほう。じゃあ非常事態なら例えばあたしが男だったとしても(実際に中身男だけど)抱き合うという事なのかな?」
「お、おう…。勘違いすんなよ?俺はホモじゃあない」
「…(自分もホモじゃないから嫌なんですが)」
確かにこの寒さはシャレになっていない。このままいたらいつか身体の震えが突然止まって暖かくなってきて、ひょっとしたら狂ってしまうかもしれない。狂った後の事は想像できないな。後は死ぬだけか…。実際に日和はスケベな意味も含めているけども、それでも互いの身体が温まる事は事実だと思う。
仕方ない、やるか。
「いいよ」
「え?マジで?」
「え?冗談なの?」
「いや!マジです」