8 早速ですが遭難しました 7

どれぐらい時間が経っただろうか…。
また俺は眠ってしまっていたらしい。しかもどういうわけか、思いっきり涎を日和の首辺りに垂らしまくっていた。
「んぁ、ごめん、ティッシュティッシュ
俺はベッドから起き上がって周囲にティッシュ箱が無いか探すと、テレビが置いてあるテーブルの横にティッシュが置いてあるのを見つけた。それを数枚取り出す。と、その時にティッシュ箱の横にコンドームがあるのを見つけてしまった。…ラブホテルなの?ここ?
とりあえず日和の首の辺りに垂れてた涎を拭き取っていると日和が目を覚ました。そして俺の顔を見てから目をぱちくりさせて言う。
「ちょ…おま、これ…まさか、愛液?」
「んなわけないでしょ!涎だよ、涎」
「なにぃ…涎か」
「そうそう。すいませんでした」
そうやって日和の首辺りをティッシュで拭き取っていると、何やら廊下からトタトタと歩く音が聞こえる。俺と日和は周囲の時間が凍りついたようになった。神経がその音に集中した。それから色んな事をたぶん考えた。まず、この家の持ち主が入ってきたのじゃないか、それからひょっとしたらこの家を借りてるお客さんか、もしかしたら…熊さん?別に鹿でもいいや。そのどれにしたって、俺達に取っての危機である事に変わりないのだ。
不法侵入で素っ裸になってベッドでちちくりあう二人。これを見てなんとも思わないのは熊さんぐらいだ。だから熊さんが着てくれることをちょっと祈った。
しかし、俺達は一番最悪な奴がこの部屋に入ってきたことを、5秒ぐらい後で知るのだ。そう、扉が開いて電気が点いてってか、電気点くのかよ。そして、そこに現れたのは、
「七海…と日和くん。一体何してるんだ?」
親父だった…。
それから続いて、
「ちょっと日和…あんた…何やってん…」
二人が灯りをつけてから視界に入ったのは、素っ裸でベッドに入ってる男女、そして、その二人の周囲に転がっている丸まったティッシュ。それまで二人の間に何が起きたのか、想像させたくない。けど、何か想像しているようだ。親父とお袋(新)は顔を真っ赤にしてから、
「服を着なさい!何をやってるんだ!」「日和のバカ!あんた妹になんて事させてるの!」
と同時に双方の子供を怒鳴りつけたのだった。
「ちょ、ちょっと待ってくれよ!これはだな、これは〜…ワケがちゃんとあるんだよ。命を未来へと繋ぐための…」
やめて。誤解されるような言い方やめて。