10 平日の来客 8

男を背にして二人で風呂につかる。
男の手は俺のおっぱいを相変わらず触っている。とても気持ちいい。
だが男のアソコはもう萎えていた。さすがに3回目は出ないみたいだ。普通にオナニーを毎日してる人なら3回が限度だと思う。俺は風俗に行った事はない、風俗に行ったらまた出る回数が違うとかあるのかは知らないけれども。
「ナナちゃん、ほんと、おっぱいが大きいなぁ」
「そう?」
マユさんに比べると小さい気がする。ブラのサイズはDだが。
「スタイルいいし、可愛いし、どうして君みたいな子が風俗やってるのかな」
「まぁ…お金が無くて」
「そっか…不景気だからねぇ」
「会社とかも不景気なの?」
「ああ。うん。俺の部署の奴ら半分ぐらいが辞めさせられてね、仕事の量が2倍になったよ。ほんと、毎日が辛い。残業続きでね」
でも風俗に行く時間と金があるという事は…それほど給料が悪いってわけではないんだな。うらやましい。
ん?
そういえばさっきから携帯が鳴っているような。っていうか、この発信音、俺の携帯じゃないぞ?
「なんかさっきから携帯鳴ってない?」
「あ!」
男は立ち上がっていそいそと風呂場を出る。タオルで身体を拭ききらずに、ベッドのある部屋へと向かっていく。暫くして男の敬語な声が聞こえてきた。どうやら男の携帯が(仕事の都合で)鳴っていたようだ。
色々と忙しい人だなぁ。
結局、その日はその人は時間がまだ来ていないにも関わらず、そこで終了となった。会社に呼び出しを食らったみたいだ。
「じゃ、じゃあ、また今度も指名するよ」
「あ、はい。ありがとうございます」
「あ、最後に一回、お願いが」
「ん?」
「『いってらっしゃい、あなた』って言ってキスしてくれないかな」
…。
「あ、あぁ、はい…」
そういうシチュエーションが好きなのか。しょうがないな。
「いってらっしゃい、あなた」
と俺は言って、男の背に手を回した。男は背をかがめて震える手で俺の両肩を掴んで、そして唇が重なってくる。
「い、いってきます」
「は、はい」