9 とある平日の死闘 2

ブリュレがもうあと一口ぐらいになった時、誰かが帰ってきた。どうやら日和みたいだ。「うぃぉー」などと言いながらア○メイトの袋を下げている。
「おかえり」
「ただい、おおおおおお!」
「あ?」
なんだコイツは。ただいまだろうが。「ただいお」ってなんだよ。なんでも語尾に「お」をつければいいってわけじゃないぞ。
「おおおおお!」
「なに?」
「おま、おま」
「おまんこ?」
「ちげーよ!なに人様のプリン食ってんだよ!」
「ん?あ、これ日和のだったの。ごめん」
「ごめんじゃねーよ!返せこら!」
「返せって言われても。胃液と一緒でいいなら」
「いいわけねーだろ!」
なんだか今にも残ってるプリンを奪おうと手を伸ばしてきそうな勢いだったので俺は距離を置いて日和の射程内から逃れた。
そして、とりあえずそのまま距離を維持しつつ、
「ったく、プリンごときでケチケチするなよなー。男だろー」
俺も男だけど。
「ほう…プリンごとき、か。ごときねぇ…。プリン様に向かってごとき、か。じゃあそのプリンごときを隣町のケーキ屋まで買いにいくなんて簡単だよなぁ?」
「わかったよ、明日買ってきてやるよ」
「俺は今この瞬間に食いたいんだよ!」
ったく、女々しい奴だなぁ。
「これか、このプリン様が食いたいのか」と俺はプリン様をスプーンに乗せてプルプルと震わせながら、それを日和の目の前をぐるーっと回して後(この時にも日和は今にも『あーん!』とスプーンを咥えそうになっていたけど)そのまま俺の口にそれを運んだ。そして、
「んまーっ!ぷりんんまーい♪」
とニコニコしながら言った。
「(わなわなと震えながら)て、てめぇ…今日こそは許さん」
今日こそはって、別に普段から悪い事してないじゃん。
「許さなかったら何するってんだよ」
「…レイプする」
「…マジで?」