21 愛のエプロン料理王決定戦 1

宇宙の旅と題されたとある旅行プラン。
最近旅行会社がしきりに客におすすめしまくってるプランなんだ。
インドネシアやマレーシアがある辺りの赤道直下のとある場所に人工島が作られていて、その島から空に向かって灰色の塔がびょーんと伸びている。遙か空に伸びていててっぺんは見えない。バベルの塔を思わせるそれは実はカーボンファイバーの塊なのだった。空高く、宇宙空間んまで伸びていて、宇宙ステーションと繋がっている。
その原理は詳しくはわからないけど、空から落ちてくる力と外へと突き放す力がバランスを取っているので強度さえあれば「宇宙エレベーター」の構造上問題ないらしい。
実は最近になってその「宇宙エレベーター」が一般公開され誰でも利用出来るようになったんだ。それで日本の旅行会社はこぞって宇宙旅行プランで募集を掛けたもののなかなか人は集まらない。宇宙に行っても見れるのは地球や月だけで、「たったそれだけの事」をする為に大金を払っていくのは…見合わないんだよね、宇宙まで行く価値とそれに払う料金が。
興味があるのは一部の金を持て余している金持ちだけ。後は時代錯誤の価値観を持ってるお年寄り達かな。彼らはマスコミに「宇宙には一度でいいから行ってみたい、でしょでしょ?」っていう価値観を刷り込まれているからね、本当は行きたいなんて思ってなくてもパブロフの犬ごとく「宇宙旅行?行きたい行きたい!」って思うんだよ。
というわけで、宇宙旅行っていうのは一般人にはちょっと遠くて、じゃあ行ったとしても何かあるかっていうと特に何もない、微妙な「賞品」として扱われるようになったんだ。それはテレビなどの番組内でも同様にね。
さて、前置きはこれぐらいにしようかな。