21 愛のエプロン料理王決定戦 4

愛のエプロン料理王決定戦というのは近年著しく低下した日本の女性の価値を回復すべくテレビ局が企画した花嫁修業企画の一つ。
花嫁修行の中でも料理を中心にしてて、出演者は審査員に気に入ってもらえるような料理を作って食べてもらって評価してもらう。評価が高い出演者には色々とプレゼントがあるんだ。ただ、大抵の出演者はこういったプレゼントよりも「花嫁修業の成果をテレビの前で宣伝する」っていう目的の方が大きい。
出演当日まで僕は色々な料理(のプログラム)を頭に叩き込んで(ダウンロードして)しっかり準備はしたよ。でも、この番組に出演するには女性である事もそうだけど、抽選で選ばれなきゃダメなんじゃないのかな?それに優勝するためには審査員にも高評価もらえないとダメだしさ。
っていうのをクリさんに話したところ、
「それなら準備は可能な限りした。審査員には網本とデブを忍び込ませてあるし、実は我々3名とも決勝戦に出場する予定となっている」
「またハッキングしちゃってるの?っていうか、それなら色々と小細工して優勝してしまう事も出来るような気がするよ。勝負とかなしで」
「可能な限りというのは…時間不足で完璧に仕上げることが出来なかったという事だ。審査員は全員で5名。つまり、後3人は部外者という事だ」
ふーん。クリさんの辞書にも不可能というキーワードはあるんだ。
テレビ局の待合室の中では出演者達が主に心の準備をしていた。集まった人達は皆それなりに美人か可愛いかのどちらかで、それなりに料理も出来そうな雰囲気はある。見た目だけの評価なら僕やクリさんに優る人は居ないみたいだ。ここにいる女性達は今まで過酷な修行を重ねて来たんだろうなぁ。別の意味だとそれだけ結婚に重要な意味を感じているという事なんでしょ。それはちょっと理解出来ない。これは僕が男の思考だからかな。
「そろそろ始まるようだな」
クリさんに続いてユキが立ち上がり、一人ずつ待合室を出て行く。あードキドキしてきたよ、僕は人前に出るのはあまり好きじゃないんだよな。二人は屁とも思っていないようだったけど、気が小さいからさ、僕は。
げ、僕の番だ。