21 愛のエプロン料理王決定戦 6

料理勝負が始まった。
司会者が説明する。
「さて、料理対決の第一回戦は課題料理です。課題として出された料理をみなさんで作っていただきます。この課題対決では料理そのものよりも、料理を作る過程を評価します。ですから出された料理は評価に入りません。審査員は食べるのも食べないのも自由です!」
と、審査員のほうを見る司会者さん。
クリさんの策略通りにいっているのなら審査員には僕達の身内、つまりぶーちゃんと網本の二人が組み込まれてるはず…あ!いた!いたよ!でも他人のフリをしなきゃいけない。出来レースがバレたら元も子もないからさ。でも、2名は身内だけど、それ以外…つまり、司会者さん、どこかの料理評論家みたいなおっさん、そして(僕は普段からバラエティーなんて見ないからわかんないけど)多分、どっかのアイドルっぽい女性の3人の票はもらえない。
「さてさて、食材が運ばれてきましたね。お、どうやらイキの良い魚が…おお〜水槽に入ったまま運ばれてきてますね」
用意されたのは野菜に穀物にお米やら肉、魚(水槽で泳いでいる)などなど、沢山。これを使って何を作れっていうのかな?っていうか、僕の電脳に入ってるデータベースに存在しててくださいよーっ!
「食材が揃いました!では、これで何を作るのかがパネルに表示されます」
ドキドキ。
パネルに表示された。えっと、ん。ん〜?
『刺身とステーキ』
えーっ!
刺身とステーキって、何かこう、もっときちんとした料理名はないのかな?なんか普通に家庭料理で呼ばれてる名称じゃないですか。ああ、そうか。これは愛のエプロン。家庭料理がメインになるはずだよね。ここでいきなり何とか風なんとかのなんとかムニエルとか出たら、作る人はおろか、食べる人も何を食べてるのかわかんないよね。
「それでは、みなさん、準備はよろしいですか?いいですか?この勝負は結果ではなく過程が評価されます。料理を作る姿が健気であったり、美しくあったり、可愛らしくあれば評価されます!それでは、スタートです!」