21 愛のエプロン料理王決定戦 14

「みんな勝つ気はあるの?」
こう僕が怒鳴っているのはスタジオからちょっと離れた廊下の突き当たり。周囲には人はいないから丁度いい。休憩の時間となって一旦僕たちは集まって話をするんだ。
「勝つかどうかはわからない。できるだけの事をするだけだ」
「もっと普通にいこうよ!」
「普通?私のなかでは普通なのだがな」
「いや、あんな軍学校の教官みたいな人と結婚したいと思う?旦那さん大変じゃないか!」
「確かにそうは思ったがナオがドラマの様にしろと言うのでな」
「えーっと…オチが見えてるのであんまり聞きたくないけど、一体何のドラマのを参考にしたの?」
「戦場の花嫁だ」
「それドラマじゃないし!映画だし!花嫁ってタイトルについてるけど男しか出てこないし!」
「見た事があるのか?」
「あるよ!先週の日曜洋画劇場でやってたじゃん!一緒に見たじゃんか!」
「ナオはベッドで漫画を読んでたものだと思ってたぞ」
あーっ!もう!ヤバイよ。今僕が辛うじてトップになってる。この勝負はなんだかんだいっても最後の料理の味が得点の大半をシメてるんだ。前半戦で(少なくともルックスだけは他の出場者より優れてる)僕やクリさん、ユキが点数取れなきゃ勝ち目がないんだよ。他の人は料理が上手いんだからさ。愛のエプロンだけに…。
「ユキもクリさんもわかってるよね?次の勝負で決まるよ!審査員で票を入れてくれるのはぶーちゃんと網本だけなんだからさ、後の3人が高評価出さないと他の人に賞金取られちゃうよ!」
僕は料理にはそれほど自信ないんだ…。あくまでレシピ通りに作るだけでさ。かといってこの二人が料理で勝てるとは…失礼ながら思えない。せめて普通に料理を作ってくれればいいのに…。