21 愛のエプロン料理王決定戦 15

「さて、いよいよ3回戦目となりました。最終決戦です」
司会者が説明している。
「1回戦では料理を作るときの姿勢を評価して頂きました。2回戦では料理を取り巻く環境を評価して頂きました。ここで改めて愛のエプロンの本来の目的へと戻りましょう。3回戦目…料理勝負です!!」
スタジオには様々な食材が運ばれてくる。
愛のエプロンは他の料理番組とは異なります。他の料理番組ではいかにして万人に美味しいと思っていただける料理を作ることができるかですが、愛のエプロンでは、料理を食べてくれる相手一人一人にどのようにして喜んでもらうか。味での勝負では無いのかもしれません。気持ちでの勝負なのかもしれません…。それでは、選手の方々。前へお願いします」
僕たちは一同、ずらーっとスタジオに並んだ。
「これよりコンピュータがランダムに審査員を選びます。その審査員を思ってそれぞれ、料理を作ってください!」
なるほど…という事は、仲間が審査員になってるんだから2点は固いかな。まさにこの時の為にクリさんが事前準備をしてくれてたんだよ!!僕がぶーちゃんに審査してもらって、ユキが網本、僕は今時点で成績がいいからぶーちゃんに評価してもらったら確実に優勝になれるぞ!
『クリさん、もう後は出来レースになってるよね?』
と電脳通信で話す。
『ん〜。それが、無理だった』
『エエェェェェェエエ!!!』
『すまない』
『なんで?なんでだよ!クリさんともあろうお人が』
『先ほどコンピュータがランダムで、とあったがあれは嘘だ。どうやら番組のスタッフの手が回らずコンピュータを準備出来なかったらしい』
『え、ちょっ!』
『アミダくじで決めてる最中のようだ』
『…』
うわー。最悪だ。もし運悪く全員がハズレちゃったら…。おわりだよ!僕はこういう時は必ずダメな方向に進んじゃうんだよ!おしまいだーっ!
「えー。さて、ただいまコンピュータがランダムに弾きだしました。まずナオさん。審査員は北川さんです!」
がーん!!やっぱり運が悪い。僕は運が悪い…。よりにもよって…どうやってあの自称アイドルの…えっとなんだっけ。北、北、なんとかって人が審査員になるなんて!あぁぁぁぁぁっぁどうすりゃいいんだよ…何作っても絶対に低評価されちゃうよ。
「ユキ選手の審査員は、網本さんです!」
あぁ…やったかな?でもユキは今までの評価が低いからなぁ。残すはクリさん…。ぶーちゃんに当たれ!そしたら少しは望みがあるよ!クリさんは番組前アンケートでは男性人気が僕の次だったんだから!この勝負で評価が良かったら僕を越して優勝可能だよ!
「クリ選手の審査員は、おぉ〜。料理評論家の武田さんです!」
…。
終わった。