21 愛のエプロン料理王決定戦 25

最後の最後でクリさんが逆転優勝しちゃった…。
賞品はフィギュア!、ケルベロスの首輪!、それから宇宙旅行への招待!。当初予定していたものが全部手に入ったよ!
ほくほく顔で僕たちはスタジオを後にした。
帰り際にクリさんに聞いた。
「ねぇクリさん」
「ん?」
「あの武田って料理評論家の人の電脳をハッキングしたんでしょ?」
「まぁな」
「記憶の中にある味を再現するなんて、どうやってやるの?」
「人間の味覚はある程度はデータ化出来るからな。そこから原材料が何なのかを計算するといくつかのパターンが出てくるから、その中の一つを選んで作るだけだ」
「じゃあ、その中からスズキ屋の『焼き鳥定食』をどうやって選んだの?いくつかパターンが出てくるんでしょ?」
「カンだな」
「え?カン?!」
「えと…何パターンの中から選んだの?」
「1672パターン」
「え…ちょっ。そこからどうして一番近い味を選べるの?」
「わからんよ。たまたま選んだものが一番近い味だったらしい」
たまたまってあんた…。凄い強運じゃないか。
いや、それとも…。