11 コスオタ 1

その日も開店時間からずーっと待ってたけどこりゃ誰もこないで終わるかな?って思った時、時間にしては既に16時で、もうすぐ俺の出勤時間終わるなぁ、って思ってた時のことだ。お客さんからご指名があった。
3人目の客とあって、もしかしてリピーター来たかとか思ってた。けど、ホテルのドアを開けて待っていたのは知らない奴だった。最初の印象は…ん〜ブサメンだ。ほんと、彼女いない歴どころか、友達居ない歴も年齢とイコールじゃないのっていうぐらいに、ブサイクだった。でもどこかで見たことある顔だなぁ、と思うぐらいにどこにでもある顔ではない。ブサイクっていうのは美青年とおんなじで人にインパクトを与える顔なのかもしれない。
そのブサイク…ブサ男は、俺の顔を見て驚いていた。
「あぁあぁぅ、よ、よ、よろしくお願いしまっす」
とても女性と話慣れている感じがしない。
「よろしくお願いします」
ブサ男ってどうしてこうも大きなリュックを背負いたがるのか。どこかで見た事があるって今思い出した。アニオタだよ。アニオタ。アキバとか行ったらこんな感じなのがいっぱいいる。一体何が入ってんのかっていうぐらいに大きなリュックを担いでウロウロしてるでしょ。あれだよ、あれ。みんな同じ顔に見えてたのか。俺は。
俺はそのブサ男がなかなか玄関からどこうとしやがらないので、横をすり抜けるように部屋に入った。ブサ男はつったたまんま、こっちを見ている。
「えと…お風呂、入れてます?」
デリヘル呼び慣れてる人ってホテルについたら真っ先にお風呂入れるらしいんだけど(待っている時間が勿体無いので)この人はそうではないらしい。本当に風俗初体験じゃないのかな。
「いや、あ、あぅ、い、入れてない」
シドロモドロになりながら答えてる。
…うーん。クラスにこういう奴は居たけど、男相手だと普通に話してたぞ。女相手になるとこうも会話能力がなくなってしまうものなのか、それとも脳に欠陥があるのだろうか…。とにかく、つったってるだけで何もしないので俺がお風呂の水をいれることにした。