11 コスオタ 8

ブサ男はタオル一枚を腰に巻いて風呂から出てきた。
「つ、次もし、指名するよ。ありがとう、すごく良かった」
「ああ、どうも…」
俺がブサ男が持ってきた大きなリュックをチラ見すると、中から他のコスプレモノが見える。俺がそういう視線をリュックに対して送っていたのに気づかれてしまった。ブサ男は明るい表情をしながら、
「他にも色々コスプレあるよ!」
そういってその中から一つほど、白っぽい生地のものを出した。まさか…。
「な、ナース服だよ!」
「うわぁ…」
「君が着たら可愛いだろうなぁ…」
まぁアニメの何かのコスプレが出てくるよりもマシかな。とりあえず通販サイトで売っているコスプレは一通り全部持っているような感じだ。
「えと、じゃあそろそろ、時間ですし」
「あ、うんうん。次も指名するよ!」
「じゃ」
「あ、待って!」
なんだよ、もう時間だっての。
「最後にお別れのキスして」
ぅゎぁ…。
俺はブサ男に近づいた。お別れのキスはいいが俺がつま先立ちしてもブサ男の唇に届かないんだが。と思っているとブサ男は多分頭の中で「ほら届かないだろう?可愛いなぁ」とでも思っているのか、ちょっと間を開けてから身体をかがめて俺の身長にあわせると、唇にキスしてきた。ちゅちゅちゅ、と3回から4回、キスしやがった。
ちょっと最後に洗面所で口を濯ぎたかったが、それが見られるとなんだかブサ男は怒りそうなのでそのままホテルの部屋を後にした。