10 太陽がたくさん 1

親父の車には運転席に親父が乗り、助手席にはお袋(新)が乗っていた。そしてもうここからはいちいち書かなくても想像におまかせするが、とにかく二人は何かにつけてイチャイチャしていた。
時は夏、場所は砂浜。そう、今、海に来ています。
後部座席には俺と日和がいる。
日和は黙々と携帯ゲーム機で遊んでいて、俺は画面みて酔い易いので音楽でも聞きながら外の松林の景色を眺めていた。そろそろ海水浴場につくだろう。
さて、俺はもちろん反対した。
時間をちょっと前まで戻すことにする。
「キャンプぅ?そんなの今まで一度だってしたこと無いし、それに道具だって」
「したこと無いのはみんな一緒さ。それに道具は買えばいいじゃないか」「最近は何でも売ってるのよ!スポーツ用品店に行けばキャンプ道具は一式揃うんだから!」と二人して必死になっている。二人で泊まりに行けばいいのに。
俺と日和はソファーの上にそろって座ってて、親父とお袋(新)はじゅうたんそろって座ってて、ちょっと低い位置から俺達に同意するように勧めている構図だ。同意?いや、強制っぽくなってるけど。
日和も俺に続いて反論する。
「ってか、俺1日以上家を空けれないし」
「オナニーか?」「オナニーね」これは前回もあったパターンだな。まぁおおかた日和が家を出たがらない理由はオナニーぐらいなもんだろうと思っているけども。
「ちげーよ!オナニーなんて海に行ったらオカズに困らねーし」
「じゃあなんだ!」「ネットゲームじゃないでしょうね?」
『オカズに困らない』ってところには突っ込まないんだ…。
「夏は暑いから外にd」
「却下だな」「却下ね」
却下された。
というわけで、俺と日和はキャンプに行くことになってしまった。