7 水中騎馬戦とファーストキス 5

騎馬戦が終わってから負けた方のクラス、つまりボク達のクラスは着替えて外へと出ることになった。
ボクはヤヤさんのクラスを応援するわけでもなく、再び騎馬を組んで試合にでるヤヤさんの姿を、特におっぱいのあたりを、重点的に観戦していた。
「すっごいエッチな目で見てるなぁ」
突然話掛けられてボクは「へ?!」と間抜けな声を上げてしまった。見れば500ミリリットル入のお祭り仕様のコーラの氷をボリボリとほうばりながら部長のアヤメがボクの前に居た。
「え、うん、まぁ」
「ほほぅ。ヤヤちゃんかぁ」
「あの子は人気かな?」
「そりゃ男子にも女子にも人気があるよ」
「はぁ…」
「え?ため息!もしかして…」
「べ、別にいいじゃんか。男が女を好きになるのに理由がいるのかな!」
「いやいやいや…キミは男じゃなくて女でしょ」
「でもヤヤちゃんもそうだよね?」
「そりゃそうだ。つまり、アタックするっていうこと?」
「ん〜…」
そこまで考えていなかった。きっとモテる男っていうのはそこまで…いや、その先すらも考えているんだろう。例えばどこでデートしたり、告白のセリフかこうで、キスはどこでするかとか、ホテルはどこにするかとか。ちょっと不純な感じがして嫌だなぁ。恋に落ちた人ってもうちょっと周りが見えないっていうか、先の方まで考えれないのが純情って感じじゃないかな?
「今日会ったばっかりなのにそこまで考えてないよ」
そんな風にいじけて見せるボクを見て、アヤメは「勝ち取ったり」とでも言いたそうなニヤケ顔になってヘラヘラとしていた。
とにかく、ボクはそれからずっと、ヤヤちゃんのクラスの試合が終わったあとも、まるで恋に茹でられてしまった頭の中を冷やすかのようにぼーっと見てたんだ。