10 太陽がたくさん 5

俺の蹴りによって海に突き落とされた日和は凄い勢いで犬かきっぽい事をしている。これは一体なんという生物なのだろうか…。犬かきエビ?
「てめぇ!くっそ!」
でも普通に浮かんではいる。
「あはははは!!面白い泳ぎ方!!」
「てめぇ…」
俺は日和の少し右横に飛び込む。
泳ぎは人並みには出来る。別に水泳の授業でトップを飾ったわけでもない。あくまでも人並み。だけれど島から島へと泳いでいけと言われて瀬戸内海であればそれは不可能ではない的な自身はある。スピードには自身ないけどずっと浮かんでいられるから。
「お、凄い水流だ!」
日和の隣に行くと犬かきっぽい事をしているからか凄まじい水流がこっちにやってきてる。そうまでしなくても立ち泳ぎ出来るんだけどな。無駄に体力つかって死ぬパターンだな、この人。
「へっへっへ…」
俺は日和の周囲をすいすいと泳いで回った。
「ちょっ、マジで足が吊りそうなんだけど」
「ん?何を釣るの?」
「いや、冗談抜きにして」
「足が吊っても泳げるよ、人間はそんなにヤワじゃないし〜」
「お前、水難事故の恐ろしさを知らないようだな」
犬かきしながら水難事故がうんぬん言われても…。
「確か溺れてる人に近づいたらしがみつかれて一緒に覚えてしまうから離れて勝手に溺れさせておけっていう教訓があって、」
「ねぇよ!助けろよ!」
「うわっ!ちょっと!」
日和が抱きついてくる。後ろから抱きしめてきて特におっぱいを力強く揉んでくる。
「あっ!あっ!ちょっと!なんで揉む?!」
「うおおおお!ヘルプミー」
俺の立ち泳ぎがいくら耐久力があるからといって、おっぱいを揉まれてると変な感じがして力がでない。くそっ…。こいつ、始末しておかねば俺も一緒に溺れてしまうぞ。
「ほら、これに捕まりなさい」と日和母、お袋(新)が縄梯子を船から下ろす。ったく、最初からそれを降ろしといてよ。パニックになった人は凶器なんだからさ。
俺はその縄梯子に捕まる。
日和は俺の腰に手を回しておっぱいに顔をうずめたままだ。
「ほら、もう縄梯子のほうに捕まってよ」
「はぁはぁ…死ぬかと思った」
「ほんとだらしないなぁ」
…日和は俺の腰に手を回しておっぱいに顔をうずめたままだ。
「おーい…」
「このビキニ、パッドが入ってるから固くないか?お前おっぱい大きいんだからパッドはいらないだろう?」
「別にパッドとか意識したこと無いし、って、早く離れてよ」
「もうちょっと…」
「よし、蹴ろう。このまま蹴って海の藻屑にしよう」
「わかった!わかった!落ち着けよ!」