11 早速ですが…(以下略 1

親父の奴、本当に適当な島に船をつけやがった。
俺達はそこで荷物を下ろして、日和は「さっさとテント建てようぜ」と言って、本当は「さっさとテント建てて中でゲームさせろよ」って事で、そそくさとテントの機材を組立て始めた。
俺はテーブルやら椅子やらを設置してまな板とか包丁を出して今からすぐにでも食事を作れるような準備をした。と、そこまでしてからだ。お袋(新)が「ああああ!!!」と叫び声をあげたんだ。
「どしたの?」
「忘れちゃった…」
「え?何を?」
なんだろう?テントに食器やらに炎を起こすもの、寝袋、水…とにかく、キャンプするには必要なものは全部揃っている。
「ん?どした?」と親父がお袋(新)に聞く。
「忘れちゃったのよ…どうしましょ」
「え?あーっ…そりゃまずいなぁ…まぁナシでもいいけど」
などと言ってる。ん?ナシでもいいならいいじゃん。
「でもぉ…」
などと二人がまたイチャイチャと、いい年したおじさんとおばさんのイチャイチャは見てはいられないな。ガソリンがあったらぶっかけて火をつけてあげたいもんだと思ったよ。どっか見えないところでやってよ。
「よし。取りに戻ってこようか」
「え?マジで?」「マジかよ?!」俺と日和が久々に声をハモらせた。
「そうねぇ…やっぱり、なきゃダメよねぇ」
とお袋(新)も言ってる。こいつらマジ…。
「ちょっと待ってくれよ!俺と七海をこの無人島に残したまま自分達は戻るっていうのかよ!俺も戻る!」
「日和、男の子でしょ」
いや、男の子とか関係ないし!
「男とかそういう問題じゃねーよ!」
そうそう。
「荷物の番をする人がいなきゃダメでしょ?」
無人島で荷物盗む奴が居たらそりゃ『無人島』じゃねーだろうがーっ!」
ごもっとも。
「屁理屈言わないの」
…。
「それじゃ母さんとちょっと戻ってくるから、二人はちゃんとテントの番をしておくんだぞ。あ、ご飯食べててもいいから」
親父はそう言うと、そそくさとクルーザーのエンジンを起動させてお袋(新)と一緒に島を離れていった。のちの島流しの刑である…。