11 早速ですが…(以下略 2

「おい七海!お前の親父はキチガイか?!」
「いや、あたしの親父がキチガイならそっちの母親もキチガイでしょ?!」
「ああ!キチガイだ!あんなキチガイは初めて見たぜ!」
夕日が沈み行く無人島にて。
俺と日和は親父とお袋(新)に取り残されて二人して最初はどっちの親がキチガイか、いや、やっぱり両方の親がキチガイだったという話を繰り返ししていた。でもいずれ疲れてしまってそろそろご飯を食べようかという事になった。
さっき準備していた食材などを見てみる。
焼肉か。
これがカレーとかになると俺はちょっとだけお手上げだったよ。実はカレーの作り方とかはよく覚えてない。小学生の頃に合宿でカレーを作った時は俺も男でクールにスレてて全然参加しなかったからなー。結局女子達が一生懸命作ったカレーなどを食べただけだった。
「お、焼肉じゃねーか!」
日和も材料を見て気づいたみたいだ。
「まずは火を起こさないと」
「え?ガスバーナーってないの?」
「ん〜…あったかなぁ?」
俺はキャンプ用品の袋の中をまさぐる。焼肉用に炭を購入しているだけみたいだ。火力がそれほど必要じゃないらしい…。
「炭があった」
「よし、さっそく火を起こそうぜ」
「ライターある?」
「その変に転がってるんじゃね?」
キャンプ袋の中にライターか、着火する道具が入ってないか確認する。どこをどう見ても見つからない。あれ…あれれ?マジで?
「ない」
「マジで?」
「日和持ってないの?」
「俺、タバコ吸わねーし」
「やばいよ、やばい。火がないと焼肉できない」
「しょうがねっか。帰ってくるまで待とうか」
夕日がだんだん眩しくなっていく。太陽がその日最後の悪あがきをしているような感じがした。出来ればそのまま悪あがきして欲しいと思った。だって、このままじゃ真っ暗に…。