13 救助艇到着 3

俺達はひょっとして本当にこのまま親も誰もこの無人島に来ないんじゃないかって心のどこかに思ってしまっていたかもしれない。加えて二人とも高校生で大人だ。だからこのままここに残されていたらどうなるのか、脱出する手段はどういうのがあるのか、それらを心のどこかで考えていたのだろうと思う。もし大人であってもこの問題に立ち向かえないというのなら、それは女だから…それか女みたいなひ弱な神経の持ち主だからだろう。幸いな事にこの島には女はいなかった。見た目が女はいるけど。
「さてと…どうすっかな…」
日和はテントを見つめて言った。
「どうやって帰るかって事?」
「それもそうなんだけど、救助がくるまでどうするかなって。食料だってないし。こういう時には水と食料を調達する事が最優先じゃないかね」
へぇ…。意外と頼もしいんじゃないの。
やっぱりこういう危機に面したときに男の価値が決まるね。周囲とコミュニケーションを取ってリーダーになれるとか、力が強いとか、頭が良いとか、そういうのも確かに必要なんだけど、まずは「さぁやってやろう」っていう行動力だね。それがあるか無いかで全然違う。
と、中身が男の俺は冷静に評価していた。
「水はさっきの所にあるとして、食べ物だ。よし、簡単に取れる海の幸が無いか捜すか」
「うん」
言うが早く、日和と俺は岩場に行く。なんとなくカニだとかタコだとかが居そうだったからだけども、いない。
フナムシとか小さなカニ、後はイソギンチャクか…。意外と人間が食べれるものって転がっていないもんなんだな。と、思っていたとき、日和がどこから拾ってきたのかカギ爪が何本も付いている棒を持っていた。
「何それ?」
「お前、知らないのか?貝を掘る道具だよ」
「そんなの持ってきてたっけ?」」
「なんか落ちてた」
と言いつつ、日和はガリガリと岩場の間の砂浜を掘り始めた。
待つこと1分。
「おいおいおい!いるぞ!滅茶苦茶いる!」
貝だ。凄い大きい。掌サイズの貝が砂の中から出てきてる。
「すご…」
俺も日和が掘りつくしたところの隅を手で掘って広げていく。出てくる出てくる。こぶし台の大きな貝がゴロゴロ出てくる。
こりゃ食べ物に困りそうにないな。