13 救助艇到着 5

俺と日和は今まで一生懸命掘りまくった貝を一つ一つ、海に戻していった。ただそこらにぽいぽい戻したんじゃない。等間隔にだ。そういえばどこかの刑務所で刑罰として穴を掘って、それをまた埋めるっていうのがあるのを思い出した。まさにそれだ。
途中から漁師さんも加わってなんとか1時間ぐらいでその作業を終えた。その後、俺と日和は漁師のおじいさんの船に乗って港へと送ってもらった。
離れていく島には俺達が持ってきたキャンプ道具が置きっぱなし。もちろん、それも後でちゃんと片付けるようにと漁師さんにねんを押され…。って、俺も日和も被害者なのに、この扱いはなんだ。なんか俺達は無人島にたまたま来てた犯罪者みたいな感じじゃないか。貝掘りも一応は犯罪ではあるけど…。
「くっそ!あのクソ親はどこへ行きやがったんだ!」
「まぁ、まだ責めることは出来ないよ。もしかしたら何か事情があったのかも知れないし…ひょっとして、事故とか」
「え、ちょっ…マジで?それはないだろ…」
俺と日和は両親が事故って病院にいるか、もしかしたらもっと最悪な事態などを想像しながら、暗い顔をして港へと戻った。ちなみに俺達が出発したのは海岸のヨットとかが置いてある桟橋。漁師さんが俺達を連れて帰ってくれたのは文字通り港。市場が近くにあって、漁を終えた漁船が魚をおろしてるあの港だ。
そこで俺達は市場の事務所みたいなところに連れていかれて住所だとか身分証(学生証)だとかを確認された。しかも何故か警察まで呼んでて…、これは多分俺達が遭難したとか言ってるからだと思う。色々と聞かれた。ようやく開放されたのはついてから3時間ぐらいしてから。ったく…とんでもないキャンプだ。
「クッソ!電話する!」
日和の携帯も圏外じゃなくなっていた。すぐさま両親と連絡をとるのだ。
小一時間日和が電話口で怒鳴っている。
「ああ?あああああ?!なんだって!?」
とかかなり興奮気味の日和。
「知るかよバカ!クッソ!さっさと迎えにきやがれよ!」
そして携帯を切る。
「なんだったの?」
無人島から戻ったあと、燃料が切れてて戻れなかったらしい…で、燃料の入れ方がわからんとかで、とりあえず明日までまって無人島に行こうとしてたみたい」
「…」
両親は俺と日和を置いてホテルに止まっていたらしい。
ちなみに、何か買いに戻ったかといえば…。
「ふざけんなよ!コンドーム買いに戻ってやがった!一体どこでセックスするんだ!あぁぁ?!」との事…。