22 2xxx年宇宙の旅 1

ちょっと前、テレビに出演したときに優勝賞品として当たった「宇宙の旅」なんだけど、ついにそれに行く日となってしまった。
あの後しきりに網本は宇宙の旅の楽しさ、辛さ、悲しさ、そして笑いどころだとかを説明して参加者を募ったけど、クリさん以外は行きたくないの連呼。
ユキは「面倒臭いわ」と一蹴。ぶーちゃんは「料理は美味しいの?宇宙食とかでしょ…あれはマズイよ…消化器系に障害を持っている人が食べてる食事とおんなじだよ…もっと美味しかったらいいのに」と断った。僕は「散々テレビとか映画で見てるし…月とか地球とか太陽でしょ」と断った。
「ちょっと待て!実物は違うんだよ!」
「実物見たことあるの?」
「ない」
「じゃあどう違うんだよ」
「ちょっ…おまッ、軌道エレベーター宇宙ステーションっていうのはな俺のじいさんの年代だと夢話だったんだぞ!!」
「じいさんちがうし」
あと宇宙ステーションは昔からあるでしょ…。あぁ、重力場発生装置がある宇宙ステーションなら最近かな。
「人生たった一度なんだよ!!!!宇宙から地球を見てみるとかありだろうが!たった一度だけでも見たいと思わんのか?お前らにはアニメとかしかないのかよ!アニメなんて録画してたら見えるだろうが!宇宙旅行はたった一度しかないんだぞ!タダで行けるのは!」
「あぁ…」突然ぶーちゃんが閃いたかのような声をだす。
「お!デブ!お前は分かるか?分かるよな?」
「その日は魔法少女カリオペの日だった」
「おいいいい!!!宇宙旅行と魔法処女カリウラとどっちがいいんだよ!目を覚ませデブ!」
「翌日はドロイドバスターキミカの日だよね」と僕。
「そんなのは後で見ればいいだろうが!とにかく、お前ら二人は参加だ!強制参加だ!」
「え、ちょっ、なんで?!」
「なんでもクソもねぇ!外へ出ろ!オタクどもが!」
「外って、何も地球の外に出なくてもいいでしょ…」
というわけで、僕とぶーちゃん、それからクリさんと網本の4人で宇宙旅行に行くことになってしまった…。