22 2xxx年宇宙の旅 3

バス到着の1時間前にボロアパートを出て、僕達はバス停でほぼ1時間待った。めちゃくちゃ暑いらしい。らしいっていうのは僕とクリさんは体温調整が簡単にできちゃうのだ。網本とぶーちゃんに至っては、特に無理矢理連れていかれたぶーちゃんに至っては可哀想としか言えない。
「な、ナオちゃんは、汗かかなくていいよね…」
「ぶーちゃん、服脱いでおいたらいいんじゃない?」
と言ってたら、網本が「やめろ!デブの裸はみたくない!」
僕はタオルでぶーちゃんの身体から噴き出る汗を拭いてあげた。そしたら「ナオ〜俺も拭いてくれよ〜」と網本が言ってくる。「やーだ」と答えてやった。その後、キャミソールの肩ひもをびろーんと引っ張られたので。蹴って反撃しました。僕はイジられるために旅行に行くんじゃないし!
そうこうやってるうちにようやくバスが到着した。
なんだか…。普通にどこかに日帰り旅行をやってるバスっぽいなぁ。岩見観光?うわー。これ地元の観光バスじゃん。よく見かけるよ。っていうか、近くにある温泉によくおじいさんおばあさんを乗せて行き帰りしてるバスじゃん。間違ってるの?間違ってないよね…?
「おいおい!なんだよこのクソバスは!」
網本がバスのフロント側に回って、プレート(どの旅行かのプランが書いてある)を見てる。僕も見てみたんだけど、「宇宙旅行」って書いてあるんだけど…マジックで…。なにこの変な宗教みたいな名前は。宇宙っていうのに何か別の意味があって合宿とかさせるような感じにすら思えるじゃん。
「マジかよ!マジでこのバスが宇宙旅行行きなのかよ!狂ってるとしか思えないぞ」
…同感。いや、狂ってるっていうか、騙されてる?
「ふむ。なかなか面白いことになってきたじゃないか。旅行っていうのはこんな風に何が起きるかわからないのが楽しいという事か」
「ん〜。なんか、何が起きるかっていうか凄くチープな出来事が起きそうな気はするね…」
クリさんはチューブトップにひらひらのスカート、上にはジーパン生地のジャケットを着てる。網本の言うビッチ服の一つ。僕と同じく、とても宇宙旅行に行こうかっていう感じの格好じゃないってことは否定できないな。まぁ、網本の制服?軍服?に比べたらまだましか。
そんな変な格好の一団はバスに乗り込んだ。