22 2xxx年宇宙の旅 12

海から見た軌道エレベータの地上部分…空中庭園は、『空中庭園』っていう言葉に似合うような綺羅びやかなものだったけど、いざ僕達がそこに辿りついてみると、意外にも外っ面だけはしっかりとしていて中は地味だった。
よくよく考えてみればそうだよね。あれだけの沢山の物資を宇宙へと輸送する為に築かれている場所。荷物を一時的に仮置きする場所。そこにカジノやら観覧車や動物園やらの人寄せするような施設があるわけないよね。そんなスペースを置く余裕なんてないはずなんだよ。
殆どが仮置きする為の倉庫。それに続いて宿泊施設が並んでいた。ただ、宿泊施設は宇宙で働いた人が地球に…地上に戻ってきて最初に泊まる場所だからかな、とてもしっかりしていた。どこぞの街の高級ホテルを思わせるただ住まいがある。地元の観光バスに始まって、飛行機、漁船と、さんざん旅行者としての扱いを『されなかった』僕達がようやくここにきてイッチョ前に旅行者としてホテルに泊まることが出来るんだからさ。
っていうか、あの豪華なホテルはVIP用で僕達はそこらのカプセルホテルっていうオチはないよね?っていうか、宇宙で働いてる人達は地上に戻ってきた時にカプセルホテルなんてありえないでしょ。
旅行会社の男は歩きながら、あの大きなホテルを指さした。
「あそこが今晩宿泊する場所です〜」
やっぱりみなさん不満を持っていたんだよね。漁船に乗せられたわけだからさ。「ほおおお!」「あらら、あんないいホテルに」「ヒューゥ!クール!」などという声が聞こえてきたよ。
「い、意外と凄いホテルじゃないかな。や、やっぱり、夜はバイキングかな?バイキングだといい、いいな。食べ放題だしさ…」
「バイキングでも作りおきじゃなくてその場で作ってくれる高級な奴かもしれないよ?今日は沢山食べれそうだね、ぶーちゃん」
そんな会話をしながら僕達はホテル『ヤマトヤ』っていうところに宿泊となった。えっと…ヤマトヤ?マレー語なのかな。それとも中国語?なんか日本っぽい名前だなぁ。