22 2xxx年宇宙の旅 20

旅行会社の人は僕達の前で説明する。
「えー、それでは、これより軌道エレベーターでの宇宙の旅、今回の旅行のメインとなります!これから皆様にですね、このエレベーターで宇宙まで行ってもらいます、それから宇宙ステーションで3時間ほど滞在されて、その後地球への帰還となります。えー、実は軌道エレベーターに搭乗する許可が降りているのがお客様方だけですので、私の案内はここまでとなります。宇宙ステーションのほうには弊社のスタッフが在中しておりますので、ご到着されましたらそちらの指示に従ってください」
いよいよ、僕達は念願の宇宙旅行へと出発することになったわけですね。あの作業服の男性に連れられてエレベーターと言うにはあまりにも巨大な…体育館ぐらいのフロアに案内されたよ。そこにはさっき搬入されたと思われる巨大な宇宙船みたいなのがある。
作業員、なんだか「あれぇ?」って感じの顔をして首を傾げてる。
首を傾げながらも僕達をフロアに案内した後はすぐにどこかへと消えていった。やっぱり本来のスケジュールに無理に僕達が入ってきたからなんかおかしいなーって思ったんだろうね。まぁいいじゃん、こんなにスペースがあるんだから旅行客がこのフロアにいてもいいじゃん。っていうかむしろ、なんでもっと沢山の人をここに載せないの?って感じだよ。こんなに広いのにさ。
「いよいよだな!」
網本が言う。
そう、いよいよなのです。フロアの扉が閉まる。しばらくしてから身体が軽くなったような気がする。
「あれ?あれ?もしかしてもう宇宙じゃないかな?」
その質問にクリさんが返す。
「いや、これは重力場を発生させる装置の影響だな。この軌道エレベーターには重力場をフロアに発生させる処置が施されているのだろう。これから宇宙空間へ移動すると荷物が動いてしまうからな」
なるほど。
よく考えて作られているねぇ。
それから僅かにGを感じた。ほら、普通にエレベーターに乗るときと同じ様な感じ。いや、それに比べると随分と薄いGだな〜。重力場が作り出されているからかな。
それから随分と時間が経ったと思う。
1時間か2時間ぐらい?測ってないからよくわかんないや。
そこでエレベーターの周囲にあった機械音が消えたんだ。