22 2xxx年宇宙の旅 21

「お、ついに宇宙に到着したのか!え?!そうなのか?!」
網本はニコニコしながらさっきのフロアの入り口の巨大扉の前にいる。
「あれ?止まったと思ったけど、止まってねぇのか?」
待っても開くときには開くだろうし、開かない時には開かないよ。ったく子供みたいだなぁ。と、僕はぶーちゃんと一緒にお菓子をボリボリと食べながらテーブルゲームをして遊んでたんだ。
それから30分ぐらいが経過した。
確かに変だ。
ずっと動いてないような気がするんだ。
僕とぶーちゃんだけはゲームに夢中になってたけど、他の人はフロア内をウロウロとし始めた。
「おいおい!これ見てみろよ!すげぇ!」
網本はさっきからずっとフロアの巨大扉のあたりを調べていたみたいだ。っていうか、クリさんもその扉の周囲を調べてる。
「何があるの?」
僕とぶーちゃんもそこに駆け寄る。他の人も近寄ってくる。
網本が見ていたのは小さな液晶ディスプレイだった。サイズは10インチぐらい。どうも外にカメラがあって、景色が見れるらしい。
そこで僕が見たのは…地球だ。青い巨大な地平線が映ってる。まさにテレビの天気予報で映ってるインドネシアだとかマレーシアあたりの地図の形が雲の隙間から見えてる。みんなが驚きの声を上げてる。おそらく地上で軌道エレベーターを見た時のあの感動とは比べ物にならないぐらい、つまり、人が作ったものとそもそもそこにあるものとではやっぱり天と地の差があったんだな、って思うぐらいに、みんな感動の声を上げた。
「綺麗…」「おぉ〜」「きてよかったな」「Oh…God」「すっごーい!」
10インチの小さな液晶モニタの前に集まって感動している。巨大な立体ホログラム映像を見ても感動すらしない人達が、たった10インチの、しかも液晶モニタ(タッチパネル式)を見ながら感動している、という滑稽な様子がそこにあったよ…。
でも僕達はまだ気付いてなかったんだ。
そのモニターから映し出された光景が僕達に今大変な事になっている、という事を知らせている事を。