22 2xxx年宇宙の旅 24

網本のほうから奇妙な音が聞こえてくるのをみんな聞き逃すはずがなかったのです…。そして僕とクリさんが逃げ出しているのもみんな見てたから、様々な憶測が流れている…。
「何?何の音?」「今鳴き声が聞こえなかった?」「今の音ってもしかして…え、もしかして?マジで?」「hey. what's happen?」
でも誰も音がした方向に行こうとはしなかったんだ。ひょっとしたら誰かはそっちで何が起きたのか予測出来たのかも知れないし、僕がヒソヒソ声を聞く限りでは「宇宙人?」とか言ってる人もいるから見当はずれな予測をしている人もいたのかも知れない。
とりあえず僕はしばらく網本の側には近寄らないようにしよう。
物陰からあまりにもすっきりとした顔で登場する網本本人にちょっとムカついたのは事実だけどね。
その後だった。僕は思わず叫んだ。
「クリさん!」
「ん。どうした?」
そして指さした。その先には何か黒い物体。いや、何かとか言ってもしょうがないや、うんちだよ。うんちが浮かんでいる。無重力状態の中にドロドロのうんちが綺麗な円球となって(綺麗とは矛盾してるけど…)浮いているんだよ。それは黄色やら茶色やらしてる、本当に「見た目だけは」綺麗な宝石みたいな球体だ。
「とんでもないスペースデブリが浮かんでいるな。あれにあたったら精神的ショックは尋常ではないぞ」
「やばいやばい!やばいってば!」
僕達がフロア中を右往左往しているなかで他の人は何が起きたのかわからず、ただぼーっとその場にいるんだ。とにかく早く動いて欲しいよ、マジで。なんで宇宙に来てまでこんなのと格闘しなきゃ行けないんだよ。
「お前らな〜。誰だってうんちぐらいすんだろ?」
「ここでしないで!」
「しょうがないじゃん、トイレねーんだから」
と言ってる網本にクリさんが一言、
「トイレなら階下にあるだろう」
「階下…?え?」
「このエレベーターフロアは2階層だ。下にトイレが設置してある。さっきのパネルに見取り図があったのをお前も一緒に見ただろうが」
「…」
「ちょっと!網本あの浮いてるうんちをちゃんと集めてきなよ!」
「そんな汚ねぇことできねーよ、おまえ出来るのかよ」
「自分のうんちでしょ!」
あ〜…ここは地獄ですか…。