22 2xxx年宇宙の旅 26

クリさんがドロイドを操作し初めてから30分が経過していた。結構離れてたのね。ようやくクリさんは通信が万全な領域までドロイドを運び出すことに成功したと言ってきた。
「映像を送るぞ」
「あ、うん」
僕の脳の電脳にドロイドの視界が広がってきた。
目の前には太い鉄の針金の塊みたいなのがある。それが何らかの強い力でえぐられていて、中にはゴム製のケーブル?みたいなのがいくつか。それも同じ様にえぐられているのだから、これが断線の原因かっていうのはよくわかった。
「本来ならシールドが展開されていて、デブリぐらいではびくともしないんだが、どうやらそのシールドのパワーが微弱になるタイミングがあるようだ。その時に運悪くデブリが命中した」
「これを修理したら…電力が回復するんだね?」
「うむ」
僕の視界はドロイドのそれと共有されていた。ドロイドはケーブルの修理を始めたんだ。視界の右脇に断線したケーブルを再現してるホログラムが表示されて、問題の箇所に印がつく。しばらくすると視界の中にドロイドの手らしきものが飛び込んできて、断線したケーブルを繋ぎあわせていく。
そんな光景をわくわくしながら見ていた。
小一時間ほど経過した。
元通り、とまではいかないけど、応急処置的な感じでは断線したケーブルの接続が完了したんだ。
「やったな」
「おおおお!やったー!」
「電力が回復するぞ」
そのクリさんの一言の後に、さっきは「ひゅーん」とかいって情けない音を出して停止していた機械が「うーん」とかいう音を出して起動し始めたんだ。やった!と、思ったその時、あの懐かしい重力っていう感覚が戻ってきた。まるで地面のほうに「グリグリ」と押し付けられている感覚が襲う。ああ、これが重力って奴なんだね、ちょっと感動してしまったよ。
と、フロアを見てみると、さっきまで浮いていたものがどんどん地面へと落ちていく。例えばポテチだとか、荷物だとか、服にあの強襲艦みたいなもの、それからうんち。…うんち?
「Nooooooooo! holy shit!!!」
一斉にうんちが落下、外人さんの頭にうんちが…うわー…!汚い!近寄らないで!走りまわらないで!頭に臭いうんちが乗っかったまま、走りまわる外人、それを何もすることができず呆然と見ている人達。阿鼻叫喚の地獄絵図とはまさにこれの事だった。