19 男は女の外見を見て好きになり、内面を知り嫌いになる

合宿が終わってまったりと数日が過ぎたある平日の放課後、俺はいつものようにパソコンのある部室でエロゲをやっていた。
エロゲのタイトルは「俺は妹に恋をする」。俺には妹はいるが、現実に存在している妹とエロゲの中の妹という定義は明らかに異なっている事を前提に、妹とデートしたり妹とキスしたり妹とセックスしたりするそのエロゲの趣向を楽しんでいた。
「お、やってるね〜」
と部室に入ってきたのは同じ部活であり、17歳の頃の俺である片山だ。
「やってますよ、やってますとも」
俺は普段の俺の口調で答えてる。
「柚子ルートかぁ…柚子が好みなの?」
女の俺に女の好みを聞くのもどうかと思うが中身は30歳の俺なんだから実に正当な質問といえる。柚子はこのゲームの中では純に妹キャラで最初から最後まで主人公の傍にいる。ピンク色のツインテールの髪型、お色気な衣装よりもボーイッシュなのが多い。声は普通に可愛いのだが、一番可愛いのはそのドジな性格だ。このストーリーを書いてる奴はあからさまな天然系ドジっ子は一部のピュアなドジっ子マニアの間では嫌われている事を十分に考慮しているようで、さり気なくドジっ子なキャラを作り出す事に完成している。
「うん、柚子は性格が可愛いから」
「へぇ〜。やっぱり妹がいるとしたらこんな感じのコが好きなの?」
「そうだね、でもさ、こんなコ実際に居ないよw」
そうなのだ。エロゲに存在するような顔も可愛いくスタイルも素晴らしく加えて性格もいい女性なぞ、この世界をどんなに探しても見つからない。会社にはお局(おつぼね)さんという大奥みたいな奴が一人いて、世間知らずでわがまま、欲が深くて知恵が浅く、事あるごとに発狂したように怒鳴り散らすのが居る。これが女性としての本質なのだ。それを制御してやっているのならまだ救われる。だが、お腹が空く事や眠くなる事と同じで本能でそれをやっているのだから自然の摂理といえる。「エロゲの中の女性が現実にいるわけがない」という言葉は俺の様に女性の悪い部分を知っている奴からすれば崩すことの出来ない方程式なのだ。
「そうかなぁ…」
と片山が否定するのだ。まだまだ若いな。世間知らずが顔に出てる。30歳の俺が言っているんだから間違いないだろう。
「どうしてそう思うの?」
「その、顔がよくてスタイルもよくて性格もいい女性が俺の目の前にいるじゃんw」
「え〜?…お世辞をありがとう」
「お世辞なんかじゃないってww可愛くてスタイルもいいコは居るとは思うけど、まひるみたいな性格のコは居ないと思うよ」
「あたしみたいな性格?どんな?優しいって事?」
具体的に聞いてみよう…17歳の俺がどんな審査をしてくれてるのか。
「ん〜…」
考え始めたwお世辞を言ってもじゃあ具体的には、って聞かれたら難しいんだよね。俺も会社で先輩と話してて、まぁ日頃からうっさい先輩だとは思ってたんだけど「この人、いい感じだなぁ」と思う瞬間がある。いやエロい意味じゃなくてね。多分そういうのが積み重なって自分にとって「いい人」認定されると思うんだけど、じゃあ具体的に何が良いのかって言われると、良い印象っていうのは表に出ないんだよね。悪い印象は次から次へとでるのに。
「その、なんだろ?落ち着いてる?」
「お、落ち着いてる?」
「う、うん。怒ったりとかないじゃん。普通、ちょっとした事でイライラしたりとかしないかな?それからついさっきまでイライラしてたのに、突然明るくなったりとかさ。俺のお母さんも妹もそうなんだけど。女ってそれが普通だと思ってたよ」
「あ〜…」
確かにそうだ。俺、イライラする事が起きても「イライラした所で何も解決しない」って考えて頭の中では理論的に物事を処理するんだよね。まぁ逆に鬱状態になる事は多いかな。
「あと礼儀正しい…かな」
「え。何それw」
「いや?頭がいいんじゃないかなw」
「成績はあっくんと同じぐらいだと思うよ…」
「そうじゃなくてさ、なんだろ…傷つくような事を簡単に口にしないし、ギャグのセンスもあるし」
ギャグのセンスについて評価してくれてるとは、流石17歳の俺だ。実に見る目があるね。でも傷つくような事を口にしない?これって俺自身が何を言えば傷つくのかっていうのを完全に把握してるから、ただの自己防衛機能なんだが…。
「あぁ、あとすごく安心できる…かなぁ…年上の人みたいに」
「と、年上…」
「あ、ご、ごめん。別に老けてるとかそういう意味じゃないよ」
なんと鋭い…30歳の年齢を見た目じゃなくて会話の中から読み取りやがった。まてよ、まさか遊園地で花庭を見て喜んでたのを年寄り臭いって思ったのか?!でも俺はエロゲを買い漁るような若々しさもアピールしてるぞ。何故だ何故だ…何故読み取れた?
まいっか。
俺はエロゲの続きをはじめた。隣で片山も見てることだしエロシーンまで突入させてチンコを勃起させてやろう。
柚子と主人公は映画館へとデートだった。二人は普段から身体をよくくっつけあったりするのだが、主人公はここぞとばかりに映画のエロシーンで実の妹の下半身を触りまくる。「お、おにいちゃ…」などと小声でエッチな声を出す妹に容赦せずにパンツの中に手を突っ込む主人公。そして二人はちゅぱちゅぱと音を立てながら映画館でペッティングをするのであった。続く。
と、ここまで進ませて、片山の下半身を…っ!テント発見!
「あっくん、勃起中」
「ちょっww見ないでくれよ」
「あ、そうだ」
ピコーンと俺は頭でひらめいた。そうだ映画を見に行こう。
「?」
「映画見に行かない?」
「今から?」
「今から…でもいいけど、家のほうは大丈夫なの?」
「あ〜…まずいかも。今週末にいこっか」
「うんっ」
「もしかして…映画館で…」
俺は軽く片山のふところにエルボーを食らわせた。解ってるくせに。もしかしたらそのデートで片山の童貞損失&俺の処女損失となるかも知れないのだ!そして前回のフェラの失敗をリベンジせねば。きっと何か方法があるはず!そう、俺がフェラされたらどんな気持ちになるのかを考えるんだ!Think!
フェラの事はいいとして…今週末がデート!、と。