30歳過ぎて童貞のままでいると魔法使いになれる
夢の中で夢だと気付く時があるんだけど、多分今回もそんなのだろう。 昼食を摂る時に出かける喫茶店のドアを開いて、いつもの客層がいるのを確認したりして、でもなんだか少し違和感を感じたりして、その時にああ夢なんだなとか思ったりもした。 それとなく…
8月30日。 人によってはその日は普通の出社日だったり、あるいは手をつけていない宿題に半ば諦めムードで終わらせようと決心する日であったり、最後の夏休みの僅かな貴重な時間を過ごそうとしていたり、そして、別れの日であったりする。 30歳になった俺は死…
前に俺は熱帯魚の話をしたと思う。 なんだっけ、プータ、ゲンタ、サンタだったかな。科学部で飼ってる熱帯魚だ。理由はわからないけど、今年の夏にうち2匹が死ぬ。そんな事を考え始めたのは、部室に何度か来ていて、熱帯魚が元気に泳いでいる姿を見たときだ…
懐かしいな。 社会人になってから、自分の家に帰ったのは親父の葬式の時だけだった。その時は、誰も俺には言わなかったが、多分「お前は親父の葬式の時ぐらいしか家に帰らないんだな」って言おうと思ってたんじゃないかな。でもそれをもし誰かが俺に言ったの…
その日も学校で『部活』。科学部だけどね。 部室に行ってみるとまだ片山は着てないようだ。目に入ったのは先生達が座る教卓に紙が一枚置いてある事だった。こんな夏休みで教卓に紙が置いてあるって、なんか授業でもやったのだろうか?それ以外は別に変なとこ…
部屋に戻ってきて最初にやることはベッドに飛び込む事。 それは「さあ、セックスを始めましょう!」という意味じゃなくて、お酒が身体に回ってきて眠りたいという欲求があるからなのだ。さっきからずっと心地よい疲れが身体を覆いつくしている。片山も同じみ…
夏休みに入ってからもあいも変わらず学校には行っていた。 帰宅部じゃないかって?ノーノーノー、『科学部』です。 片山の家に行こうと思ってたけど家には親も妹もいるだろうし、じゃあ俺の家に来てって事になるとアパートで一人暮らししてて、アニメオタク…
学校というのはそこに行ってるだけで苦痛であると誰かが言っていたけど、まさに夏休み前と夏休み明けの2週間ぐらいは苦痛でしかなくなる。社会人になれてよかった事を一つあげるのなら暑い教室の中でじっと座っておかなくていいこと…かなぁ。
俺は夏というのが嫌いだ。 まず最初にお祭りだとかプールだとか脳内のアドレナリン循環を激しくしそうなキーワードがあるのが嫌なのだ。体育会系の奴等が心躍らせる様子が頭に浮かんでくる。お祭りだとかプールだとか、そんなイベントがないと心躍らないの?…
片山と素敵な初セックス体験後の学校生活は、まるで何かが吹っ切れたかのようにエロエロとしたものへと変わっていった。具体的に書くとまた官能小説みたいになってしまうので、とても短く書いてみる。と、「ペッティング、時々、セックス」みたいな。この辺…
お風呂から上がってお互いの身体の水を拭きあっていると、廊下のほうで足音が聞こえて後、コトっと何か物音が聞こえた。もしやと思って廊下側のドアのある場所へと向かってみる。あ、さっき注文したコスプレグッズが届いて…る?うわ、やっぱりずっしりとコス…
さて、デート当日。 何を着ていけばいいか迷ったのだが前回と同じような感じにするが嫌だったのでキャミソールにジーパンという普通な感じにした。髪は相変わらず学校の時とデートの時とでは違ってリボンの髪型にしてみる。そうして鏡の前に立ってみるとなん…
合宿が終わってまったりと数日が過ぎたある平日の放課後、俺はいつものようにパソコンのある部室でエロゲをやっていた。 エロゲのタイトルは「俺は妹に恋をする」。俺には妹はいるが、現実に存在している妹とエロゲの中の妹という定義は明らかに異なっている…
今日泊まる宿泊施設はキャンプ場が少し進化したような場所。泊まりとトイレだけの機能を持っている別館がいくつも並んでいて俺達が寝泊りするのはそこ、食堂だけの機能を持っている建物と、露天風呂の機能を持ってる建物もある。建物と建物の間には廊下など…
今日はいよいよ合宿当日だ。 校庭に集まった時にバスの席順が教えられ、やっぱりここでも力が発揮されてて片山とセットとなる。バスの中ではさすがにエロゲの話で盛り上がるわけにはいかないので17歳当時ハマっていたシュミレーションRPGのドラゴンナイトに…
さて、それからどうなったかと言えば、片山とは平行線だ。 どういう意味においての平行線かと言えば、ラブホテル的な意味での平行線。片山から誘ってきてくれるのを少し期待したりもしたんだが、それはなかなか勇気がいることなのだろうか…な?つい先日も部…
お昼や休みの時間は、普通は…というと俺は普通じゃないと思われてしまいそうだが、学校には購買があってそこでパンやらおむすびだとか弁当が売ってて、それを買うか弁当を持参して「クラスメート」と食べる。 俺の様に友達の居ない奴は、昼休みになると静か…
多分興奮して寝れなくなるだろうからと急いで布団に入って目をつむった昨日。それから今朝5時ぐらいに起きてしまった。寝太郎では無い事が唯一誇れるところ。身体は平均睡眠時間を厳守してるようで早く寝ると早く起きてしまうようだ。 何を着ていこう? 俺は…
月曜日は俺と神山、それから片山の事は女子の間ではちょっとした話題になっていて、話したくもないのに聞いてきやがった。特に普通系グループの連中からは変に団子状に噂が一人歩きしているらしく、俺が神山をフったって話になっている。フったも何も最初っ…
充実した人生を送っている人は朝起きるのが早いとか誰かが言っていた。それは頭の神経回路が一番活発な時が起きてから2時間、つまり朝の活動を重視する人は効率的な脳の使い方をしていて、結果、脳が充実だと感じているかららしい。 という事は30歳の俺は、…
科学部と言えば、それとなくその名前の部活は存在していて、じゃあ名前としてはあるけど具体的に何をしているかというと実態は解らない、そういう部活だと思っていて実際に入ってみても本当に何をしてるのかわからなかったり。他にも文芸部などもあるけど文…
放課後に科学部の入部手続きをしてもらおうと思ってたんだけど、そういえば今日は文化祭実行委員の仕事があるんだった。まぁどのみち片山と行動するわけだし、入部手続きは明日でもいいか。 いったんは視聴覚室に集まって、先生からは倉庫の中から文化祭に必…
二日酔いで学校から早退した俺は、ほぼ一日中寝たり起きたりを繰り返して気がつけば朝になっていた。朝と言ってもすぐに学校に行けるような時間じゃなくて、年寄りが寒さで早起きをしてしまう4時ぐらいの時間だ。 そして俺は、すぐに部屋の異変に気がついた。
楽しい時間はあっというまに過ぎるんだ。 片山はもう俺を保健室へと届けてくれた。例の薬品系の香りがぷんと漂ってくるのでそこは保健室なのだろう。片山は「大丈夫?」と言いながら、俺をゆっくりとベッドへとおろす。 「ありがとう」 今までありがとうは色…
あ゛〜…あぁあぁ…。だるい。 身体全体が重い。動くのに体力が沢山必要。胃の中の胃液が外へと飛び出しそう。頭が痛い。やばい、二日酔い?なんで?お酒強かったのに…。そしてもうひとつ、「なんで?」を言うのなら、なんで今日学校なの?
雨宿りで入ったホテルのロビー。ここってビジネスホテルだと思ってたんだけど、なんか凄い造りが豪華だな。そんでなんで受付の人とかいないの?受付のカウンターも無いな。それから俺はとりあえずカウンターが何処にあるのか探していた。何で探しているのっ…
初登校の今日は本当に疲れた。 授業を一緒に受けるときには教科書を見せてもらう事になっていたのだが、片山は恥ずかしいのか俺のほうを全然見なかった。見たら叱られるのだと言い聞かされた子供みたいに。見たら叱られるというのは言いすぎかも知れないが、…
月曜日。俺が女の子にされて最初の登校日。10数年ぶりに会う担任の島崎先生に連れられて、同じく10数年ぶりの2年A組の教室へとテクテクと歩いていく。俺が男の時はちっさな先生だと記憶しているが、まさか見上げるほどに大きく見えるとは、どんだけ小さくな…
前はそこは小さな山。それで火葬場?があったところを公園やら高校やらを作った。つまりは俺の高校時代を歩んだ高校はそこである。 沢山の嫌な思い出が詰まっている場所。度々車では通りかかっていたその思い出の場所を、今俺は制服(女)を着て、訪れている…
はぁ〜…夢か。夢の筈だよな。 そこはいつもの俺の部屋。30歳男、一人暮らしの寂しい部屋。春の暖かい日差しがカーテンを暖めてくれて、それでいて、きっと窓を開いていたのなら丁度良い感じのそよ風が入ってくるであろう、そんな部屋。どうしてこんないい気…