2 新しい友達 2

ポリポリとクッキーを食べてるキヨハルの横でこぼれたクッキーがポロポロとキヨハルの胸の谷間に落ちてるちょっとエッチな光景を斜め後からカメラに収めようとしてる人がいる。あ、いまシャッターを押した。
それに飽きたのか今度はボクのほうにカメラを向けて、どの角度で写真を撮ろうかと吟味してるみたい。まるでアイドルの追っかけみたいな女の子。っていうか、女の子でカメラ持ってアイドルの追っかけをしてる人なんて見たことない。
背の高さはボクよりも小さい。肩までは届かないショートカットの黒髪はちょっとだけ寝癖を残しててなんとなく可愛い。でも性格はちょっとだらしなさそうな感じかな〜。自分の趣味以外には全然興味なしっていうか。それからアヤメやキヨハルのちょっと後に遠慮するみたいにいるから、この子は普段から存在感がないみたい。
それでも流石というか、やっぱりというか、XX病の人は揃いも揃って、スタイルも良くて顔も良くて、非の打ち所があるとするなら前までは男だった、っていうところぐらい。普通に雑誌のグラビアに出てしまえそうな可愛さだ。
ちょっと特徴的なのは、ブラウスの上、首元にマフラーみたいなのを巻いてる。口元を隠しているから表情をあまり読み取れない。それでいて前髪も長くしてるから、ボクから見たら目だけしか見えない感じ。まるで忍者みたい。しかもその目、赤み掛かっててまるで写輪眼みたいだ。この目の瞳術で女の子を操ったりするのかな…なんて思ってしまう。可愛くもあるしミステリアスでもあるし、多分、女の子でも彼女のちょっとクールな魅力にまいっちゃうかもしれない、そんな感じの人だ。あ、目があった。
アヤメがその子の事を紹介してくれる。
「コイツは睦(むつみ)リン子。りんりんとか、むっつりんって呼んでる。男の時から趣味は河原に捨ててあるエロ本探しだとかカメラで婦女子のパンチラ撮ったり、ブラチラ撮ったりして何度か警察のお世話になるぐらいの変態野郎なんだけど、こんな風に普段から大人しいからあんまり憎めない奴なんだ。仲良くしてあげてくれ」
…。
…えっと…。
ボクの高評価返して!すっごくカッコイイって思ってたのに!
「えと、よ、よろしく」とボクがそう言ったらむっつりんは、
「(こくり)」と黙って頷いた。