2 新しい友達 7

ユタカがボクに教えてくれたもうひとつのグループっていうのが、大人びてるのは川尻ってのがいるグループと同じなんだけど、ちょっと雰囲気はそれとは違ってる。なんだろう、川尻お嬢様達がチャラい、わりと異性を意識したような美人だとしたら、そのグループはチャラさがない、硬派っていうか…。
「あんまり見るとガン飛ばしてるって思われるからな」
「あ」
「そうそう。目を見つめないように。あいつらはXX病で見た目こそ可愛くなってるけど、ああ見えても元は不良。ここらじゃ結構有名な暴走族のボスだった奴もいる。いわゆる札付きのワルって奴だ」
ワルって…女でワルっていうとレディースとかのオバケみたいな化粧の人達を連想しちゃったけど違うんだ。その中の一人が立ち上がってたぶんトイレに行くんだろうと思う。ショートカットの赤毛な女の子、目が座ってていつもガン飛ばして歩いてる感じ。くちゃくちゃとガム噛みながら、その子が隣を通り過ぎる時にチャラチャラって鎖の音がした。よく見ると黒いピアスをしてる。
「怖いだろう?まぁ、この学校偏差値高いから、底辺中の底辺な連中は来ないけど。ギリギリでああいうちょっと頭がいい不良もきてるんだよ」
「い、今の、女王様っぽい女の子が暴走族のボス?」
「いや、あいつはそのボスの右腕だよ。名前はなんだっけ…草薙?如月?まぁどうでもいいか。あいつは家庭に色々と問題があるらしくて、何度か親と大喧嘩して殺そうとしたり殺されかけたりしたらしい。今じゃ一人暮らしだけど。喧嘩する為に暴走族に入ったって噂だ。色んな別の暴走族と喧嘩を繰り返してて、何度か少年院に入ったらしい」
「えっと…それじゃあ、ボスってのは」
「あの一番後ろの席のショートの頭してる奴」
「う…」
さっきの草薙だか如月って女の子はルックスはちょっと怖そうだったけど、そもそも身体の大きさがボクと大差無かったから怖カワって感じだったけど、ユタカが言ったボスの女っていうのは体格が…。モデルさんみたいな身長だ。175ぐらいはあるかな。整った綺麗な顔してるけど可愛らしさっていうのはない。白人とのハーフに見えるなぁ。海外のアクション映画で銃をぶっ放す渋い女がいるとしたら、それにちょうどぴったし。
「文武両道。しかも親は金持ちっていうか街の権力者で色々と悪さをしてても警察を黙らせてるんじゃないかって噂があるほどだよ。柔道だか合気道だか色々と稽古を昔やってたみたいで、喧嘩の時には普通は試合なら反則になる技でもここぞとばかりに使って、女になった今でも敵がいないらしいよ。たぶんアレは将来はヤクザだろうね」
「ず、ずいぶん怖いクラスに来ちゃったな…」
「まぁ、心配しなくても大丈夫だ。色々怖い噂はあるが、中身は男だからな、姿が女の奴には暴力は振るわないだろう。僕が仮に男だったとしても女の子の胸倉掴んで怒鳴ったりするのは、それをやるほうが一番気分が悪いからな」