2 新しい友達 8

「そして、その3グループのどれにも属さない、ぼっちな人達」
ぼっち?ああ、ひとりぼっちの事か。
「アレが宮村」
ヘッドフォンをつけて机に突っ伏してる女の子。ああ、いたなぁ。中学の時に男子でこんなのが。休み時間は誰とも話さずにヘッドフォンで周囲を拒絶するの。ボクは気持ちは判るよ。
「あっちが斉藤」
シャープペンを口にくわえてフリフリしてる。視線はどこか空のほうを見てて、なんだか天然少女って感じだ。その子はそのシャーペンを時々手に持っては何やらノートに書いてる。
「斉藤はアニオタだよ。休み時間も授業中もああやって漫画描いてる」
「そ、そっか…」
「それから李」
「り?」
ユタカと同じぐらいに乱れたっていうか、貧乏な格好をしてる女の子がいる。髪はポニーテール。その髪も美容室で切ってもらえばいいものを自分で切ったのかそれとも切るお金がないから伸ばし放題なのか、前髪が顔を半分ぐらい隠してしまっている。それで、ポータブルのゲーム機を持ってきていて、周囲に見えないように教科書で囲ってプレイしてるけど、先生からは丸見えになるんじゃないかな。視線の位置が上だから…。
「アレは中国人だよ。XX病の政府措置で特定の学校に患者を集めてるんだけど、何故かそれに外国人がまぎれてる。普通は留学生枠だとか少しは日本語が話せる必要があるんだけどね。李はまったく日本語判んない。それでいつもぼっち」
「なんだか可哀想だね」
「仕方ない、言葉の壁は思ったよりも大きい」
これで一通りにこのクラスの女の子(元男の子)がほとんど把握できたぞ。
でも他のクラスや他の学年、それから先生にすら元男の子がいるんだから、まだまだ沢山知る楽しみが出来そうだ。