6 体育祭! 1

ついに体育祭の当日。
開会式ではずらりと男子と女子(男子)が並んだ。さすがはXX病の患者収容高校っていうだけはあるよ、可愛い女の子と美人の女の子のオンパレードだった。しかも何故か地元のテレビ局までがそれを撮影するという凄まじさ。みんな知らないんだろうなぁ。中身が男の子っていうの。
前にも話したけど、この高校では以前、女子のブルマ廃止について(これは父兄やPTAなどからの提案だったのだけれど)他の高校がやってるんだからこの高校でもブルマを廃止してハーフパンツにするか?っていう話になった。何故か話は大きくなって生徒会の重要課題にまでなってしまった。その背景には男子ももちろんブルマ廃止には反対だっていうのもあるけど、女子(中身男の子)にとっても体育の時間の楽しみ(自分以外の女の子を見るという)が無くなる事がネックになっていたのだった。そうして結局、男子はおろか女子にも反対され、女性の教師(中身男)にも反対されてしまい、この高校ではブルマは今のところ残ってしまっている。
昔懐かしいブルマとスタイルのいいお尻が勢揃いした開会式は、誰の目にとってもいい肥やしになったんだと思うよ。ボクも久しぶりに家で一人でエッチとかしたくなってしまった…。
開会式が終わるとボク達新聞部は写真を取るために駆け回った。
いつもはむっつりんが写真をとる役なんだけど、今日は珍しくアヤメもカメラを首から下げている。
「しかしそれにしてもむっつりんは残念だったねー」
残念だった?あぁ、あの水中騎馬戦の話かぁ。
「ま、私にすべてを任せて騎馬戦頑張ってきてよ!」
と、アヤメはカメラから顔を話そうとしないむっつりんの肩をぽんと叩く。むっつりんははっと気付いてから、いつもどおりこくりと頷いた。
「ん?リン子、それいつものカメラと違うね?」
むっつりんが持ってるカメラがなんだかいつものとは違う。まずあのライフルのスコープを思わせるような長い望遠レンズがついていないし、なんかコンパクトだ。あとカメラのグリップの部分はゴム製になってるんだけど、とてもカラフルな色をしている。
「これ、防水カメラ」
むっつりんは一言。
え…防水?なんで?
「ま、まさか…」
アヤメが動揺するのをよそに、むっつりんはまたこくりと頷いた。体操服にブルマというちょっと時代錯誤の格好だけでも変なのに首には暑苦しくマフラーが巻かれている。マフラーはチャームポイントだから仕方が無いか。
「うん、騎馬戦を写真に収める」
「職人だ…」
うん…むっつりんの職人根性には感服いたしました…。
引っさげたバッグの中からいつもの望遠レンズつきのカメラを取り出す。どうやらむっつりんの獲物が見つかったらしい。つまり、新聞部として仕事の時間なのだった。
「行ってくる」
むっつりんは忍者のように凄まじい跳躍力で僕たちのいた場所から飛び出すと、人ごみの中に消えていった。僕らもその後を続くけど彼女の側にいることは出来ないっぽい。父兄席の中にまで入っていったからねぇ。