6 体育祭! 3

お昼の時間になった。
ボクはキヨハルと売店に食べ物を買いに行った。本来なら親とかが来てシートでも広げてそこでお弁当を…っていうのが体育祭というか運動会の姿なんだろうけど、さすがに高校生にもなって親と一緒にシート広げて食べるっていうのはないかな、と思って両親には来ないでもいいよって言っておいた。
キヨハルの家も同じみたいだ。
キヨハルは売店の弁当だとかが売り切れたらヤバイからって、体育祭の最中に抜け出してコンビニで色々と買ってきていたみたいだ。なのに、まだ全然売店の商品は売れ残っているのを知ったら、これでもかって言うぐらいに一通りの弁当やお菓子を購入していった。
「それ、全部食べれるの?」
「大丈夫大丈夫!」
その後、木陰に移動して二人でご飯を食べていた。ようやく部長(アヤメ)とむっつりん、ユタカも合流した。
そういえば今日はユタカを見るのは初めてだなー。ユタカの体操服姿はあまりみない。それもそうなんだよ。この人、茶色に変色してるボロボロの穴あき体操服しか持ってなくて、しかも冬になってもズボンは無い。ズボンも持ってないんだ。だからいつもブルマの上にはジャージ(穴空きが恥ずかしいので)の格好なんだ。夏だろうが冬だろうがそうだろうと思う。
狙ったようなそのエロい格好は目を和ませてくれるもののひとつになっている。本人が知ってか知らずか…。だけれど今日はちょっと違った。そう、なんかちょっと違和感がある。
ブルマが凄いケツに食い込んでるんだ。
そう、まるでスクール水着のように…。
「ユタカ…それ」
アヤメは真っ先にその可能性に気づいたみたいだ。
続いてシャッターチャンスとばかりにむっつりんが食い込みに向かってカメラのレンズを向ける。可哀想なぐらいにカシャカシャとカメラに収められていく。もう動画撮ってるのと同じじゃんってぐらいにシャッターを連打しまくってる。
「言わないでくれ…」
「ブルマとかどうしたの?」
「別にスクール水着でもブルマと同じだろう?」
「いや、まぁ、確かに…」
「どんな装備であれ使っている間に消耗するものなんだ。大抵のRPGでは装備の消耗は考えられていないけどね、現実の世界ではそうは甘くない。少しでも消耗を避けるために今日はストックさせておいた」
ユタカはいつまで体操服とブルマを履き続けるつもりなんだろ…。いや、まさかと思うけど、ちょっとでもいい状態でネットオークションにでもだそうっていうのかな。そりゃまぁ、写真とセットで売れば買った値段より遥かに高い値段で取引されるだろうけどさ…。
「む…。それより、キヨハル君。君はそれを一人で食べようというのか?」と、そろそろ感づくと思ってたけど、案の定ユタカはキヨハルの買ってきた食べ物に目をつけていたね。
「そだよー」とあっけらかんと答えるキヨハル。
「無理して食べなくてもいい。お腹をこわすと思うよ」
「だーいじょうぶ、だーいじょうぶ」
「それだけ食べて腹何分ぐらいなのかい?」
「ん〜。20部ぐらい?」
「ちょっと待ってくれ…100パーセントを超えているぞ」
「だーいじょうぶ、だーいじょうぶ」
素直に分けてくれって言えばいいのに…。
「僕はね、今日は昼食を買うお金は持ってきていない」
あ、言った。
「ん?」
「みんなが沢山弁当を持ってきて食べきれないのに意地になって食べる、それでお腹を壊したり、午後からの競技でいい成果が出せなかったりするだろうと予測して、僕はあえて残飯処理係に成り下がろうという気持ちでやってきたんだ。さぁ、それをよこしたまえ。君は食べ過ぎだ」
なんという凄いこじつけ…。
キヨハルが「いやーだよー」と拒んでも横からスッスッと色々と食べ物を奪っては凄い速さでそれを食べていくユタカ。ユタカさん…我慢してたのは今日の昼食だけじゃないでしょ。その食欲…昨日の夜から何も食べてないね…。