7 水中騎馬戦とファーストキス 1

開始の合図がなった。
お互いの騎馬はゆっくりとその距離と縮めていく。
その中でボクとヤヤさんの騎馬の距離が一段と早く詰まっていった。というより、まるで引き寄せられるかのように近づいていく。ボクは確かにヤヤさんの騎馬へ向かってと伝えたけど、まさか向こうもボクの騎馬へと向かうようにしてたなんて…。これはもしかしてボクが弱いと思われて狙われてるのか。それを察した外野で応援していた我が新聞部の部長ことアヤメが言う。
「おーい!!狙われてるぞーっ!」
そんな声援を受けるとボクはまるで自分が真面目に騎馬戦に参加しているかのような錯覚を一瞬だけ覚えてしまった。ヤヤさんもそのつもりだったみたいで、最初はボクの鉢巻(鉢巻を奪うと騎馬は倒された事になる)を奪おうとしてきていた。ただ、お互いの騎馬が近づき合っても鉢巻を奪い合うような素振りをボクもヤヤさんも見せたものの、それはあくまで周囲の雰囲気に合わせただけであって、暫くすると、少なくともボクはヤヤさんのおっぱいに顔を挟んでみたい衝動に駆られた。
よし…狙うぞ…。
狙うというのはあくまでもおっぱいのほう。
ボクは狙いを定めて、腕を触るつもりでヤヤさんのおっぱいにタッチした。
ぶにっ。という感触と一緒にボクの手のひらに凄まじい柔らかい感触が響く。背筋から股間に掛けてがゾクゾクする。スケベな妄想みたいなのを思い浮かべた時と一緒だった。
今度はヤヤさんからのアタックだった。
ボクはてっきり鉢巻にまっすぐにくると思ったんだけど全然違った。まるで手が辿り着かないっていう「演技」をしたように空回りしたヤヤさんの手のひらはボクの太ももにタッチして、もう片方の手がおっぱいに当たった。そのままバランスを崩して自滅しそうになるヤヤさんはボクのほうに体重を掛けてきて、ボクの騎馬の前の二人の男子の顔におもいっきりヤヤさんの股間がかぶさってきた。
「あっ!」
ボクはヤヤさんがそのまま水中へと没してしまうのを止めていた。抱きしめるようにした抱えて持ち上げた。
一体この二人は何をしてるんだろう、って誰もが思っているだろうなぁ…。
そのままボクとヤヤさんはお互いの騎馬から抱き締めあったあまズリ落ち…そう。いや…これはチャンスだ。ヤヤさんに触れるチャンス。ドサクサに紛れて、欲望ムキ出しのボクはムラムラとしながらヤヤさんの唇に自らの唇を重ねた。そのまま水しぶきの中に没する二人。
その後、ボクは頭がぽわんぽわんなってぶっ倒れる(プールの中だからそういうのはありえないけど)かと思ったよ。ヤヤさんはボクがキスしたら、おもいっきり背中に手を回してきてそのままチュッチュ、チュチュ、と何度もキスしてきた。あのメガネ美少女が凄い大胆にもボクみたいな男(今は女だけど)にキスしまくってくれる。
でもその幸せな時間はすぐに終わってしまった。
水中から水上に浮力で浮き上がった後は、もうこのギャラリーの前でキスをする勇気はボクにもヤヤさんにもなかった。