9 シングルマザー 5

「悔しがるって、誰がですか?」
ニヤニヤしているマユさんに質問してみる。
「あー。うん、このお店のね、トップに居座ってる人達」
「へぇ〜」
このお店のトップ…って。こんな田舎の小さな街の、しかもデリバリーヘルスでトップになったからって、まるで小山の大将って奴じゃないか。
「ほんっとムカつく奴等なんだよ」
「そうなんだ。何か言われたんです?」
「『店の評判落ちるからレベル低い人は辞めて欲しい』とか『そんなに金欲しかったらソープ行け』とか」
「うわぁ…(女同士の争いって醜いなぁ…知ってたけど)」
「ほら、こいつらよ」
マユさんが見せたのはお店のホームページだった。俺は一度は見た事はある(店長が勝手に書いた自分の自己紹介をね)よくあるデリヘル嬢の目隠し顔一覧が載っている。一番左が俺(顔は載せてない)その次と、その次の2名をマユさんの指が指している。
顔は目が隠されている為か、均整が整った顔、っていうぐらいしか判らない。スタイルは良さそうだ。確かにこう並んでいるなかで誰を指名したいかと言われたらこの2名になりそうだ。
「この二人がお店で一番人気なんです?」
「そそ。この紹介ページってね、新人さんが一番左に来るの。ナナちゃんがここね。そんで、次にお店で一番氏名されてる人が並んでいくの」
「ふーん。ああ、わたしの隣が、えっと…ユイさんと、ヒトミさんか。この二人が最悪の性格の人?」
「そうそう。話さないほうがいいよ、こんな奴等と。テクニックとかも全然なくせにさ」
「テクニック?試したんですか?」
「あっはっはっは!試せるわけ無いじゃん、女だよ、あたし」
「ああ、そうか」
「遠くから来たお客さんがこの二人のうちどっちかを呼んでさ、してもらったらしいんだけど、テクニックが全然で店長さんとこに終わった後で電話着てね。滅茶苦茶怒ってたって」
「テクニックかぁ…」
そういや、俺ってテクニックってなんかあったっけ?