5 外食に行きましょう 6

「やっぱり納得がいかない」
そう、納得がいかないのだ。最初にキスした事すらもコイツは認めていないのだ。
「なんだよ、俺はどうすればいいんだよ」
「死ね、死んでわびろ」
「それは無理だろ!」
「まず最初にキスしたよね?寝てるとき」
「ああ、したさ、したよ。すいませんでした」
「何その適当な謝りかた」
「じゃ、俺にどうして欲しいんだよ!」
「反省の色がみられない」
「お前は生活指導の先生かよ」
「あ!そうだ。お父さんに言おう」
「あ、やめて」
「学校の先生にも言おう。それからクラスのみんなに言おう」
「やめてください…」
「近所のおばさんにも言っておかないと。それから従姉妹の美代ちゃんにも。後は生徒会の人にも言って、文化祭の時に発表してもらおう」
「やめてください、お願いします。お願い致します!」
日和は立ち上がって俺の足元に座って土下座した。
「どうしよっかなぁ〜…」
「ううう、許してくれ〜!俺が悪かった。俺はクラスの奴にも生徒会の奴にも嫌われてるんだよ!広められたら俺は学校に居れなくなる、絶対に」
「そんなの知った事じゃないしー」
「お前だって俺の妹なんだから少しは関係あるだろうが」
「絶縁するし」
非モテのブッサイクな俺の気持ちはお前には解らないだろうけどな、俺だって好きで嫌われ者になってるわけじゃないんだよ、いつも妄想の中じゃクラスで一番女にモテてる事を望んでやまないんだ。文化祭で一番モテる男に選ばれる妄想にも浸ってるんだよ!」
「うわ…寂しい妄想」
「お前は男にモテそうだから、俺の気持ちは解んないだろうけどな…」
確かに自分で言うのもなんだけど、少なくともクラスの中では一番自分が可愛いとは思う。男の視点からだけど。でも、正直、男にモテても仕方ないんだよな。これがXX病として辛いところなんだよな。
それに、モテない男の気持ちが解らないって事もない。
「しょうがない、許してあげよう」
「え、マジで?」
「日和が女にモテるとか、他にも色んな女に手を出してて、そのうちの一人が自分だったら絶対に色んな人に暴露するけどね。なんか女に相手されない寂しい男みたいだし」
「そう!そうなんだよ!寂しい男なんだよ!相手してくれ!」
「え、やだよ…」
「いいじゃん、減るもんじゃないし」
「好きでも無い人にキスされたりするのは嫌じゃないの?」
「可愛い女の子なら許す」
「だから…それはあたしにも当てはまる事でしょ」
「なにぃぃ!カッコイイ男からなら何されてもいいのかよ!」
ま、カッコイイ男が相手でも嫌だけどね。
「いや、喩えだから」
「えと、じゃあさ、キス以外ならいいか?」
「え?セックスもダメに決まってるじゃん」
「いや、あの、あれだよ、アレ。ペッティングって奴」
「何それ?」
「お互いの身体を触ったりするんだよ」
「何か嫌だなぁ」
「頼む!ブ男救済!メシア様!」
「日和…プライドってものを持とうよ…」